ユーロについて

The euro-zone crisis : Europe's three great delusions (The Economist)
当然であるが、最近のThe Economistの記事でもユーロに関する話題は多い。この記事は非常に興味深い。ユーロは本当にまずいんじゃないかという気もしてくる。すでに相当まずいわけだが。。個人的に保有しているユーロ建てのMMFは大赤字である。さっき確認したら平均コストが150円(!)程度であった。いつの頃のレートだよって思ってしまった。今は110円程度。the economistでよく出てくる形容詞に"eye-watering"というのがあるが、まさにそんな状況。
この記事では、ユーロ域内の政治家は3つの錯覚を抱いているという。一つ目は、ギリシャ債務危機(ギリシャに限らないが)は投機家の仕業であると考えている点。二つ目は多額の融資を提供すればよいという考え。三つ目がユーロ域内の構造改革(特にドイツでの改革)は不要と見なしている点である。
The Economistでは以前より繰り返し指摘しているが、いくらEUIMFが多額の資金を供給してもそれだけではギリシャ債務危機を解決することにならず、単に数年程度時間稼ぎをするだけである。企業経営で言うと、期日が迫った手形を追加融資でなんとか乗り切っただけであり、結局債務は減少していない。それどころか金利の上乗せで増えている。収益性を引き上げて返済資金を捻出する必要がある。国で言うと経済成長を実現することである。しかし財政赤字の削減を行うと言うことは、政府の需要が減少するというわけで、経済成長どころか、短期的には大幅に落ち込む可能性が高い。債務リストラ(元本棒引き)が避けられないのではないかと思う。
ギリシャポルトガルなどの南欧の赤字は、ドイツの黒字の裏返しでもある。南欧構造改革を行って財政赤字の削減や、競争力の向上を実現することはもちろん必要だが、ドイツも内需を刺激して黒字を削減することが必要と説く。


The Baltic states : Euro not bustを読むと、ユーロがこんな状況になってもユーロ加盟に動く国もあるようだ。エストニアが来年よりユーロに加入する可能性が高い。財政赤字・債務残高もマーストヒリ条約で定めた上限を大幅に下回っている。これだけの実績を上げるためにエストニアの政治家が断行した改革も、すでにユーロに加入している国の態度とは比較にならない。しかしユーロ加盟国の間ではエストニアの加入には慎重な声もあるようだ。しかし記事の中では加盟させない方がユーロに対する信任を一層失わせるかもしれないと指摘している。