EUの独禁政策の問題点

Competition policy : Prosecutor, judge and jury (The Economist)
Antitrust in the European Union : Unchained watchdog (The Economist)
EUの独禁政策と言えば、インテルマイクロソフトに課せた多額の罰金を思い起こさせる。具体的にどのような仕組みで制裁が決定しているのか分からなかったので、この記事は非常におもしろかった。EUは米国のやり方とは大きく異なる。EUでは記事の題名にあるように、独禁政策を担当する当局が検察官・裁判官・陪審をすべて兼任しているという奇妙かつ恐ろしい状況になっている。時代劇に登場する遠山の金さんのようなものだ。一応、調査対象の企業には聴聞の機会が与えられ、当局の調査内容に反論することはできるが、あくまでも反論することができるのは検察官としての当局に対してであって、独立した裁判官や陪審に対してではない。一方で米国では、司法省が裁判所に対象となる企業を訴える仕組みなので、裁判所と当局は明確に分離されている。EUが米国と同じ方法を導入するには条約改定が必要になるために簡単ではない。EUのやり方は対象となる企業にも大きな負担をかけることになるため、競争相手に悪用されやすいという問題もある。