英国における名誉毀損に関する法律について

Reforming libel law : A city named sue (The Economist)
英国の名誉毀損に関する法律についてはThe Economistでも取り上げられることが多い。自分達が訴えられるケースも多いだけに大きな利害があるためでもある。英国における名誉毀損の法律は非常に変わっている。原告側にかなり有利な制度になっているためだ。英国にいる誰かが、名誉毀損の対象となる本や記事を目にしただけで、英国の法廷に訴えを起こすことができる。そのため一見むちゃくちゃな訴訟も発生している。たとえば、ウクライナの実業家が、自分たちに不利な記事(しかもウクライナ語で)を掲載したウクライナのウェブサイトを英国で訴えるといったケースだ。訴えられると、当然高額の弁護士費用がかかる。訴訟では、訴えられた側が名誉毀損ではないことを立証しないといけない。被告にとっては大きな負担だ。英国の居住者の知る権利さえ侵害される事態も生じつつある。というのも英国で訴えられるケースを避けるために、英国からのアクセスを拒否するウェブサイトも登場しているためだ。さすがにこのような無茶な状況に至って、ようやく改革の動きも出ている。the economistの主張としては、英国で閲覧されることを意図した本や記事に限定して訴訟を受け付けることや、訴訟になってもいきなり裁判に進むのではなく和解を促すようにするといったところだ。