急速に減少する米国の固定線契約

America loses its landlines : Cutting the cord (The Economist)
興味深い記事。米国ではしばらく前から、固定電話を解約して携帯電話だけで済ます人が増えている。しかし昨年になってこの流れが急速に激しくなってきた。不景気のためである。両方持つのは無駄だと考えた消費者が固定電話を解約している。固定電話の没落の勢いは新聞業界をしのぐほどだ。固定電話契約数が減少することは当然のことながら電話会社の業績に大きな打撃を与える。しかし影響は電話会社だけにとどまらない。どんな僻地でも電話を利用できるようにするというユニバーサル・サービスは固定電話をベースに設計されているので、固定電話契約が減少すると、数少ない固定電話契約者の負担が大きくなり、さらに解約が増えるリスクもある。警察や消防などの緊急電話も固定電話を念頭に構築されているので携帯電話には対応しきれない。世論調査でも大きなインパクトがある。米国では携帯電話のユーザーは発信だけではなく、着信の際にも料金を負担しないといけない。そのため電話で世論を調査することが難しくなる。だからといって固定電話の契約者のみに世論調査を限定することになると、世の中の動きを大きく読み間違えることになる。固定電話契約者と、携帯電話契約者(固定電話を持っていない)を比較すると昨年の大統領選挙で支持する候補者に大きな差が生じている。