米国の性犯罪対策

Sex laws : Unjust and ineffective (The Economist)
8月はThe Economistも夏休みモードみたいで、Briefingも一つしかない。今回のは米国の性犯罪対策に関する問題だ。読みやすい英文だったが、書いてあることはあまりにもひどくうんざりさせられる。米国では性犯罪者は一生、データベースに登録され、誰でも閲覧することができるようになっているが、これが子どもの安全という本来の目的を達していないばかりか、性犯罪者の人権を大きく侵害していると指摘している。一番大きな問題が、性犯罪者という定義を拡大解釈している点だ。州によっては買春さえ性犯罪と認定される。子ども同士のセックスさえそうだ(片方が16歳以上で片方が16歳未満の場合は、合意の上でのセックスもレイプとされる。州によってはロミオとジュリエット条項という少々ロマンティックなルールでこのような事例を免除する場合もあるようだが)。データベースに登録されると、どんな犯罪で登録されるに至ったのか記録されないので、とんでもない重罪で捕まったものだと誤解されてしまう。とりあえず、データベースに登録さえしておけばよいという考えは、警察にも大きな負担となっている。本当に危険な前科者とそうではない者を区別できないためだ。もちろん維持するのにお金もかかる。データベースに登録され、誰でも検索できるため、前科者は嫌がらせを受けることが多い。家族にまで被害が及ぶ。定職にも就けないし、住む場所にも困るようになると(住む場所は大きく制限されている)、再び犯罪を犯すリスクも高まり、逆効果になる。どのように現状のシステムを変更すればよいのか。データベースに登録される犯罪者を本当に危険な人物に絞り込み、その中でも最高レベルで危険と認定された者には単に登録するだけではなく、位置を常に特定できるように特別な器具を体に装着させるといった対策を提案している。そしてデータベースにアクセスできるのは警察などに限定すべきだと主張している。


http://d.hatena.ne.jp/ichiyu/20090807/p1