世界的景気後退が最貧国に与える影響

The global crisis and the poor : The toxins trickle downward (The Economist)
先進国主導の資産バブルの経験を受けなかったので、最貧国では先進国発の景気後退の影響も少ないと当初は考えられていた。しかしこの見方はあまりにも楽観的すぎたことが判明しつつある。サハラ砂漠以南の国では経済成長率の予想値が大幅に引き下げられている。どのように世界経済がこれらの国の経済に打撃を与えているのか。いくつかのルートがある。まずお金の流れだ。東欧諸国ほどではないにせよサハラ以南の国も民間からの資金流入に依存していた。金融危機の影響でこのお金の動きが劇的に減少している。援助も同じである。先進国の景気が悪い中、援助を削減する動きもある。GDPの一定比率を援助予算とする国もあり、このような国では成長率の低下が予算の縮小につながる。商品市況の悪化も、コモディティの輸出に依存している最貧国の経済には大きな打撃となっている。さらには、出稼ぎ労働者の需要が減少していることも大きな問題だ。国によっては出稼ぎ労働者が母国に送金する仕送りがGDPのかなりの比率を占めており、仕送りが減少するとこれまた大きな打撃となる。今まで労働者を受け入れていた国で出稼ぎ労働者に対する敵対心が高まっていることも懸念材料だ。経済成長により多くの人が貧困層から脱出したものの、今回の景気後退で元に戻ってしまう人もかなり増加すると予想されている。