住宅ローンと健康保険で身動きが取れない米国の労働者

Labour mobility : The road not taken (The Economist)
米国の労働者は、職のあるところに移住するという腰の軽さが大きな特徴であった。しかし今回の不況では二つの要因により労働者の移動が妨げられている。一つめが住宅ローンである。ローン残債が物件価格を上回っている場合も多く、売却してもローンの返済ができないので住み続けるしかない状況に追い込まれている。二つめが健康保険の問題だ。米国では多くの人が雇用主から健康保険の提供を受けている。病気の家族を抱える被雇用者は脱サラすることも転職することも難しい。健康保険の適用を受けることが出来るというだけで魅力のない仕事に従事せざるを得ず、労働者の能力を満足に活かせない。
興味深い指摘として、持ち家比率が高いと経済成長を抑制するというのがある。労働力の自由な移動を妨げることに加えて、再開発が難しくなること、長距離通勤のため交通渋滞が発生するなど様々なデメリットがあるという。賃貸暮らしのほうがこのような問題を避けることが出来るようだが、多くの国では税制面で賃貸よりも持ち家を促進するようになっている。