輝きを失ったGE

General Electric : Losing its magic touch (The Economist)
GEを取り巻く問題をコンパクトにまとめている。10年ぐらい前には世界最強のノンバンクとしてもてはやされていたのがGE Capitalだった。もともとはベンダーファイナンスを提供する子会社だったのだが、様々な分野に進出し、銀行ではないものの大手銀行並みの資産規模を誇っている。しかし資金調達を預金ではなく、社債やCPなど金融市場に依存していたために、昨今の金融危機で大きな打撃を受けることになった。加えてGE Capitalの資産内容があまり開示されていなかったことも投資家の不信を招き、GEの株価の下落を引き起こしている。最盛期にはGE全体の利益の半分以上をGE Capitalが稼いでいたが、経営陣は比率を低下させる方針を示している。GE Capitalはシャドー・バンキング・システムの一角として活躍していたが、金融危機の余波で、この分野での規制も厳しくなることが予想され、資金調達コストも上昇し、今後は収益性は低下すると考えられる。
コングロマリットとしてのGEの魅力に関しても疑問符が付けられている。コングロマリットは、様々なビジネスを抱えることで安定した業績を実現し、特定ビジネスの環境が悪いときに他のビジネスで稼いだ収益で買収を進めることで競争力を高めることができるという点に魅力があった。しかし現在のGEは業績の安定という点では落第点となっており、GE Capitalの問題が大きすぎるために企業買収に振り向ける資金に余裕がない状況だ。ただ、GEは様々な製品やサービスをパッケージにして世界中の政府などに提供するノウハウを身につけており、コングロマリットという形態を維持することにはメリットもあると考えられる。