優先株では必ずしも信用力強化にはならない

Bank capital : Fishy stock (The Economist)
なかなか興味深い記事。不良資産償却で自己資本不足に陥った銀行を救済するために、各国政府は優先株への投資という形で公的資金を銀行に投入している。優先株普通株よりも返済の優先順位は高いものの、社債や預金よりは低いので銀行の取引相手を安心させるには充分だと見られていた。ただ優先株は配当を普通株より優先的に受け取ることができるが、配当原資がない場合は累積するという性質を持つので、普通株式とまったく同じに扱うことはできない。優先株が債券のような性質を有しているだけに、普通株式レバレッジがさらに高まり、リスク回避姿勢が強い昨今では貸し出しの増加にはつながらないという問題もある。そのため信用力を本当に強化するには普通株式を政府が取得するしかないのだが、国有化につながってしまうので拒否反応も大きい。