NHKスペシャル「トリアージ・いのちの選別」

録画しておいたものを見た。トリアージという言葉を初めて聞いたのだが、大規模な災害で多くの負傷者が発生した際に、誰を優先的に治療するか、その優先順位を決めることを指すようだ。
阪神淡路大震災で問題意識が浮上し、2年前のJR福知山線脱線事故で本格的に導入された。この番組では福知山線の事故でどのようにトリアージが行われたのか、課題は何かを伝えている。トリアージを行うことで避けることができた死を回避することはできたとしながらも、問題がないわけでもないとする。そもそも完璧に機能すると考えるほうが無理があると思うが。
トリアージを行うのは医者や看護師だが、30秒程度で負傷者の状況を観察して判断しなくてはならない。その際に受ける重圧はかなり大きなものらしい。ろくに診断することもなく、場合によっては死につながりかねない判断を下さなくてはならないのだ。負傷者の家族を意識させるようなもの(携帯電話の着信履歴など)があると、感情移入が大きくなり冷静さを失ってしまうようだ。かなりというか相当割り切って、優先順位をつけなければならない状況というのは、医師や看護師の通常の勤務における状況とは大幅に異なっている筈だからストレスも大きくなるのだろう。
また、医療チーム同士の連携がうまくいかなかったことや、医療チームと消防との連絡不足が、災害現場での全体像を把握することを困難にしていたという実態も伝えていた。
トリアージの中で、黒タグというものがある。これは助かりそうもないから搬送の優先順位を最も低くする場合につける。遺族は、割り切れなさを感じることも多いようだ。たしかにそうだろうなという気はする。