20060825

面白い記事が多いので読む量も増えてしまう。

  • トラック業界では運転手が不足している。そこで目をつけたのが50代あたりのベビーブーマー世代である。熟年のトラック運転手は全体の増加率を上回る勢いで増加している。給与の高さも魅力的だ。夫婦でチームを組んでトラックの運転を行う場合も多い。そのためトラックが一種の自宅になってしまう。そのため居住性を高めるためにトラック内部の設備に企業は投資している。定められたルートなら途中で休憩しても良いので、観光名所を回って夫婦旅行のような気分を味わっている運転手もいる。旅客機のパイロットは定年が法律で決められているが、トラック運転手はそのような規制はない。高齢者のほうが慎重に運転するので事故の可能性も低いという。
    夫婦でトラック運転手というのが面白い。日本では考えにくい。
  • デルが立て続けにトラブルに遭遇している。バッテリーのリコールを始め、業績の悪化、顧客サービスの低下などが立て続けに発生しているのだ。同社はダイレクトモデルという一つの武器でパソコン業界で成長してきたが、他社も同じような戦略を学ぶにつれて差は縮小しつつある。新しい成長戦略を考える必要があるが、同社は実行は得意でも、イノベーションは苦手なのだ。コスト削減が非常に重視されていたために研究開発への投資も抑えられていた。社員の不満もかなり高まっており、転職する人も多いという。
    昔にもビジネスウィークのカバーストーリーでデルが取り上げられていた。過去のダイアリーにも書いた気がするのだが見あたらない。
  • ベトナムの国営銀行での不祥事がベトナムに進出している外資系企業に大きな不安を与えている。国営銀行の女性行員が上司の認可を得ることなく無断で為替取引を行い、多くの損失を抱えているのが判明した。ベトナムでは国家財産の窃取は死刑に相当する重罪なので、この女性も死刑になる可能性もある。この女性はABN AMRO銀行と取引していたが、ABN AMROベトナム支店の行員も、認可を受けていない取引であることを承知の上で取引の相手方となったのではないかとの嫌疑をかけられている。その結果数名の行員が拘留されている。この事件はWTOにも加盟しようとしているベトナムでは、未だ法による支配ではなく、国家権力による恣意的な支配が行われていることを海外に示したものと映っている。外資系企業も、取引先の現地企業で問題が発生すれば、自社も追求されるのではないかとの懸念を有するようになった。

  • 中国は共産党政権の下でチベットを支配してきた。最近は経済的に繁栄する湾岸部と内陸部の経済格差が大きくなっているために、北京政府も内陸部での経済成長をてこ入れしている。チベットもこの例外ではない。先日は北京からチベットへ通じる鉄道が開通した。これは米国大陸横断鉄道の開通に通じるものと政府関係者は指摘している。外界に開かれつつあるチベットにビジネスチャンスを見いだした起業家たちがチベットに多数やってきている。政府はチベットで多く生育している野牛を経済成長の柱にしようとしている。しかしチベットの住民の多くは仏教徒であり、動物を殺すことには強い抵抗感を感じている。今までは儀式でしか殺すことはなく、乳製品で生計を立てていた。政府の計画では放牧過剰が環境破壊を引き起こしているとしてもっと多くの野牛を殺して、肉を販売するように求めている。チベットの野牛の肉は高価で取引されている。チベットの住民たちは政府の計画に従えないようだ。とさつ場は住民たちの手で破壊されてしまった。

  • 無線インターネットアクセスの規格を巡って、携帯電話の巨人であるQualcommMPUの巨人Intelが激突している。Qualcommは携帯電話のCDMAという規格で大きな収益を上げている。欧州ではGSMが普及しているためにCDMAの活躍の場はないものの、関連特許料という魅力的な収益源を抱えている。携帯電話のコストの6%程度が同社に支払われる特許料だと見られている。IntelWiMaxという規格を進めており、最近はSprintを自陣営に引き込むことに成功した。WiMaxはケーブルでのインターネットアクセスと同様の接続速度を実現できるのが特徴だ。CDMAと異なり特定の会社が規格を独占している訳ではない。QualcommWiMaxに対抗する技術を有している。EDVOというものだ。すでにいくつかの携帯電話会社ではすでにサービスが提供されている。しかし接続速度は遅くWiMaxと競合するには不十分である。そのため同社はベンチャー企業を買収してWiMax対抗の技術を早期に立ち上げることを狙っている。またWiMaxの技術には同社が特許を抱えているものも含まれており特許料を徴収するというビジネスも期待されるが、WiMaxには多くの会社が特許を抱えており、同社が今までのように高い特許料を徴収できるかは疑問だ。またCDMAの特許料に関しても、独占禁止法の観点から携帯電話端末の会社からクレームがついている。
    「21世紀の挑戦者 クアルコムの野望」(ASIN:4822208982)を読みたくなった。
  • 結婚式での選曲を依頼するためにDJを利用するカップルは多い。DJの利用度は年々高まっている。しかし地域によって値段は異なるものの、たとえばニューヨークでは8時間4000ドルもかかる。そこで低価格な代替案として浮上しつつあるのがiPodだ。カップルがiPodに曲を詰め込んで、結婚式場ではオーディオシステムにつないで曲を流す。DJの中にはiPod登場に危機感を感じる向きもあるようだ。しかしパーティーでどんな曲を流すのかは、その場の雰囲気でDJは決めており、iPodでは対抗できないと余裕を見せるDJもいる。DJの中にもiPodを結婚式に持ち込む人も出ている。多くの曲を詰め込むことができるのでたくさんのCDを持ってくる必要が省けるためだ。
    http://online.wsj.com/public/resources/images/MK-AG928_IPODDJ_20060823200419.gifのイラストがなかなか良い。