20050728

以下の記事を読んだ。
・ネットの世界のコンテンツは移ろいやすいものと考えられているが、Wayback MachineGoogleのキャッシュなどを利用して、昔のデータを容易に見つけることができる。これらのサービスは研究者にとっては昔より利用されていたが、最近では弁護士が積極的に利用するようになっている。ドメイン名の紛争などの知的所有権の訴訟において、過去のデータを容易に探し出すことができるので利用価値が高いのだ。すでに法律事務所にとっては欠かせないものとなっている。ただ刑事裁判では証拠として利用するためには、民事よりも高いハードルがある。そのため刑事事件での利用はまだ限られている。


・CMB(commercial mortgage-backed securities)市場が急拡大している。これはオフィスビルなどの商業不動産を担保にしたローンを証券化したものである。この市場は90年代初頭より存在していた。当初はS&L不良債権を引き継いだ、RTCが資産の処分を行う際に、ウォール街が複数の不動産へのローンをまとめて証券化するという方法を持ち込んだことから始まった。しかし不動産開発業者はなかなかCMB市場には関心を示さなかった。それまで関係の深かった資金調達先である銀行や保険会社で満足していたためである。しかし最近は、この構図も変わりつつある。低金利に悩む投資家がCMB市場に殺到しているためだ。そのため利回りは急落しており、低い金利でローンを調達することが可能になっている。そのため開発業者も積極的にCMBで資金を調達しており、今年の発行額は昨年を大幅に上回る記録的な水準になると予想されている。しかし投資資金が殺到することによって、貸し出し基準が低下していることを懸念する声もある。またCMBを通じて大量の資金が不動産市場に流れ込むことで、不動産バブルを加速しているのではないかとの声もある。


・今年中にも、産業再生機構カネボウを入札にかける予定を立てている。世界第2位の化粧品市場である日本での大手メーカーとして、カネボウの入札には大きな関心が寄せられている。入札する企業としては、花王資生堂、コーセー、P&G、ロレアルなどが予想されている。産業再生機構は会社全部を一括して売却する方針であり、化粧品以外の事業も一緒に購入しなくてはならない。そのため、場合によっては、プライベート・エクイティファンドと組んで、化粧品以外の事業をファンドに売却するという選択肢も考えられる。花王は化粧品市場では苦戦しており、経営陣も化粧品市場をてこ入れする意志を見せている。そのため花王が入札する可能性は高い。すでに、花王資生堂、コーセーの株価は買収が成功した際のメリットを先取りしてすでに上昇に転じている。


・ニューヨークにある Frick Collectionという美術館では、一風変わった講座が開かれている。ニューヨーク市警(NYPD)の昇格者を中心にした絵画の講座である。警察官は美術館の専門家と一緒に、美術館に展示されている様々な絵画の分析を行うのだ。これは犯罪現場における観察や分析能力の向上を目的としている。この講座は昨年から始められており、医者に行われていた患者の診断能力向上の講座にヒントを受けて始められた。美術館のスタッフにとっても、警察官が絵画を説明するのを聞くのは刺激的なようだ。今まで考えていなかったような視点で絵画を分析するためである。