代替医療とプラセボ効果

Medicine: There is no alternative | The Economist
代替医療(ホメオパシーなど)は巨大ビジネスだが、本当に宣伝通りの治療効果があるのかは実験データが不足しており判断が難しい。しかし数少ない研究によるとほとんど効果がないという。だからといって通常の医療は代替医療を無視しても良いのかというとそういうわけでもない。代替医療は通常医療と異なり、一つの点において優れているためだ。それはプラセボ効果を引き出すのがうまいという点である。
プラセボ効果は、科学的に見て治療効果がない偽薬を投与されたにも関わらず、なぜか治療効果が現れてしまうことだが、神経系や精神に関する疾患において特にプラセボ効果が現れやすいことが分かってきた。おもしろいことに、偽薬を投与したと患者に告げてもこの効果が消えてしまうことがないという。またドラマも効果的だ。単に偽薬を投与するよりも、偽の手術を行う方が高い効果が出てくる。
なぜ代替医療プラセボ効果を引き出しやすいのか。それは治療者が患者に対して持つ関心の高さにある。熱意といってもよいかもしれない。患者は医者が自分に関心を寄せてくれるほうが、より高いプラセボ効果が現れるという。通常医療も、診察時間を長くするとか、患者の話をもっとよく聞くとか、そのような診察を行えば、代替医療と同じようにプラセボ効果をより効果的に引き出すことが可能となるのではないか。