地球温暖化対策のコスト

The Copenhagen Summit : Stopping climate change (The Economist)
この記事によると、地球温暖化対策に要する費用は全世界のGDPの1%程度らしい。そもそも地球温暖化が本当に人類の行動によるものかどうかさえはっきりしない中、コストの推定にも問題がありそうな気がするが。ところで1%というのは多いのか少ないのか。今回の金融危機で政府が投入した資金はGDPの5%になるというから、たいした金額ではないように見える(もちろん政府が銀行に投入した資金は運が良ければ利益を上げる可能性がある)。そして少し前の人口高齢化についてのSpecial Reportでは、人口高齢化に対処するためのコストは、金融危機対策に投じた費用を遙かに上回るというIMFの予測を紹介していた。そうなると、地球温暖化よりも人口高齢化にどう対処するのか、そこをもっと議論しなくてはならないのではないかという気がしてくる。
地球温暖化対策の費用が1%程度で済むというのは、あくまでも効果的な政策を実施することを前提にしている。排出権価格を設定することが一番効果的だ。欧州ではすでに導入しているが排出権価格が安すぎるために、企業の行動を変えるのには不十分だ。米国も導入を検討しているが同じように安すぎる、または無料でばらまいてしまうために行動を大きく変えることはなさそうだ。各国政府は、排出権価格を導入するよりも、抵抗が少ない補助金の提供という政策に傾きやすい。下手な政策で地球温暖化対策を行おうとすると、多くのコストが投じられたあげく、問題は解決しないという最悪の結果になる可能性が高い。