年金制度の将来

Ageing in the rich world : The end of retirement (The Economist)
年金という制度は、ビスマルクが宰相をつとめていた頃のプロイセンにさかのぼる。70歳以上になった労働者は年金がもらえるという仕組みだったが、その頃のプロイセンの平均寿命はたった45歳であった。その後英国や米国でも年金制度が導入されたが、いずれも支給開始年齢は当時の平均寿命を上回っていた。年金財政が悪化しているのは、支給開始年齢が平均寿命の伸びに追随していないためだ。支給開始年齢が平均寿命に連動しているのはデンマークぐらいである。
平均寿命が伸びるとともに、定年後に年金で悠々自適な生活を送ることができるというライフスタイルが生まれてきたが、人口高齢化とともにこのようなライフスタイルを維持することは難しくなりつつある。政治的にはいろいろ障害があるが、もっとも手っ取り早いのは、年金の支給開始年齢を引き上げることだ。米国のように定年そのものを廃止してしまうのも重要だ。プロイセンで年金が生まれる前のように、人間は死ぬまで働くのが当たり前という時代になるのかもしれない。しかしこのような生き方はそれほど悪くはない。負担が少なければ働くことに不満を持つ人も少ないし、働いた方が肉体的・精神的にも健康な生活を送ることができるとの調査もある。