金融危機とハリウッド

Hollywood in the recession : One-dimensional (The Economist)
不景気が他の業界と同じく、映画業界にも影響を与えている。手短なレジャーであることが功を奏したのか、興行収入は増加しているものの、DVD販売は落ち込んでいる。しかしDVDレンタルは活況のようだ。金融危機は映画制作にも大きな打撃を与えている。近年、ヘッジファンドなどの資金が映画制作に流入してきたおかげで映画スタジオは制作費を容易に調達することができたのだが、金融危機によりこのような幸せな状況は吹き飛んでしまった。ただ、映画制作には長い時間が必要なので、昨年後半の金融危機が、今後公開する映画に影響を与えてくるのにはしばらく時間がかかる。ただこの状況は、自力で制作費をまかなえる大手映画スタジオにとってはかならずしも悪くない。制作される映画の本数が減少することは、競争相手も減ることを意味し、顧客の関心を引きつけることも容易になるためだ。加えて制作本数の減少は、制作費の低下にもつながる。俳優へのギャラも抑えることができるためだ。しかも近年ヒットしている映画の多くが、俳優のネームバリューに依存しないタイプのものであることも、映画スタジオの交渉力を高めている。もちろん、制作本数の減少は、景気回復時に観客に提供する映画の数も減ることになるので痛し痒しといった面もあるのだが。