米国でMMFへの規制強化

Money-market funds under scrutiny : Sleep therapy (The Economist)
日本ではどうかわからないが、米国では金融資産にしめるMMFの比率はかなりの高水準になっている。非金融機関が保有する短期金融資産の4割近くがMMFだ。昨年秋、リーマンショックを受けてMMFで元本割れが発生し、大量の解約が続き、MMFに依存している短期金融市場が機能不全に陥る可能性を懸念した連銀がMMFの保証に乗り出す事態にまでなった。この保証は今年の秋にも期限が切れる。いわゆる陰の銀行として大きなシステミックリスクを示したMMFをどのように規制すべきか議論が起こっている。SECは保有資産の平均残存期間を短縮させたり、流動性の高い資産のウェイトを高めさせたり、低格付けの資産の保有を禁止したりといった規制を導入しようとしているが、大きな問題は手つかずだ。つまりMMFの基準価額の変動を認めるか否かという問題である。法的にはなんら保証はないが(日本と同じである)、MMFは常に元本と同じ基準価額となっており、投資家も元本保証という幻想にとりつかれている。そのため基準価額の変動を認めることになると、よその国のMMFに資金が流出する事態を運用会社は恐れているようだ。また銀行預金と同じような性格を持ち、運用会社から見れば同じようなリスク(いつでも引き出し可能な資金で流動性の低い資産に投資している)があるにも関わらず、銀行と同程度の規制に服していないというのも大きな問題だが、当局もいまのところはそこまで踏み込むつもりはないようだ。