雑誌不況の中で数少ない勝ち組The Economist

In Switch, Magazines Think About Raising Prices (New York Times)
このNYTの記事ではアメリカの雑誌が定期購読者を獲得するためにバナナのたたき売りみたいな状況になっていることが分かる。Timeなんて一冊58セントしか課金していない。しかも平均で58セントというのでもっと低い料金しか払っていない、または無料の定期購読者もいるのだろう。Newsweekはさらに低く平均47セントだ。ここまで安くしてまで購読者を獲得していたのはもちろん広告収入を稼ぐためである。しかし不景気により広告頼みのビジネスモデルは厳しくなってきた。一方でThe Economistは定期購読者から得ている収入は平均1.96ドルとかなり高い(日本だとこれの2倍以上する)。ばら売りだと7ドル近くもする。それでも発行部数が増えている。他誌もThe Economistに倣って値上げしたいところだが、購読者数の減少が懸念されるところだ。

Why Time and Newsweek Will Never Be The Economist (Vanity Fair)では、他の雑誌がThe Economistの成功にならって同誌を模倣しようとしているもののうまくいかない理由をいくつか紹介している。一番興味深いのは、アメリカ人の読者は、The Economistが提供するような世界各地の政治経済情勢には関心を示さないだろうという点。もちろんそのような読者は少しはいるものの、すでにThe Economistが獲得してしまっているので他誌が参入する余地はないだろうと見る。またThe Economistは意見や分析のみが載っている雑誌と誤解されているという。世界各地に存在する特派員が伝える事実(政府発表だけではなく様々なニュースソースのものを含む)も同誌の大きな特徴であるとしている。


参考:http://freakonomics.blogs.nytimes.com/2009/04/23/why-theres-only-one-economist/