日本に見るバブル崩壊後の景気回復の難しさ

Japan : The incredible shrinking economy (The Economist)
失われた10年が失われた20年になろうとしている日本。バブル震源地の米国や英国を上回る勢いで景気が悪化している。ただ今年の第二四半期は一旦底を打つと見られる。在庫調整が急速に進んだので生産も回復すると考えられるためだ。しかし一旦底を打っても、回復にはほど遠い。失業増加による消費悪化が激しさを強めると予想されるためだ。日本の景気悪化は外需に依存しすぎた結果であると考えられるが、実際はもう少しややこしい。GDPに占める輸出の比率はドイツや中国よりも低い。外需への依存度を強めるようになったのは2001年以降の話である。円安バブルが続くと考えた輸出セクターが過剰な生産能力の拡大を行ったことが打撃を大きくしている。
日銀は量的緩和政策を復活させるかもしれないが、日銀自体は効果には懐疑的だ。ただ前回の量的緩和政策は政府の緊縮財政(内需が押し下げられた)と同時期に行われており、政府による景気刺激策と同時に行われば内需を押し上げる可能性もある。日本では高齢者が多くの資産を抱え込んでいる状況だ。これを税制上の優遇処置で若い世代に移転させることは消費拡大につながるかもしれない。ただ高齢者も年金や介護への不安から過剰貯蓄をしているので、これらの不安を解消する政策も必要だ。
バブル崩壊後、日本は大規模な財政出動により大恐慌は避けられたものの内需拡大による景気回復は実現できなかった。この経験はバブル崩壊を経験しつつある欧米にとっても非常に重いものになるだろう。