不景気の中で高まる保護主義

Trade and the world economy : Fare well, free trade (The Economist)
World trade : Barriers to entry (The Economist)
来年の世界貿易は1982年以来久しぶりに減少する見込みだ。不景気の中、自国産業や労働者を保護するために参入障壁や関税を引き上げようとする誘惑が大きくなっている。もちろんWTOがあるので無茶なことはできないが、現在の関税はWTOで指定されている関税上限を遙かに下回っており、WTOのルールに反することなく関税を引き上げることは可能だ。また環境保護や健康に対する懸念を受けて様々な規制を導入することも貿易を妨げる要因となる。米国政府が行っている自動車業界への融資も補助金に相当する。また通貨の引き下げで輸出を増やそうとする誘惑もある。このような保護主義の圧力に対抗するには、WTOドーハラウンドでなんとか合意を成立させることが大事だが、なかなか難しい。となると財政出動により内需を喚起し、外国から需要を奪おうとする誘惑を断ち切ることが肝心だ。