米国の上院における欠点と長所

Lexington : Shenanigans and seriousness (The Economist)
かつては上院議員というのは余り品位が良くない連中だったらしい。議席を金で買ったような人たちも多くいたそうだ。ただしこの状況は今でも大して変わりがないように見える。最近でも汚職で捕まった上院議員もいたし、オバマが大統領になったことで空席になった上院議員のポストを売ろうとしたイリノイ州知事も逮捕された。米国上院の問題点は、人口に関係なく議席が州に2つずつ割り振られていることだ。しかも40議席あれば議事進行妨害ができるので人口の11%しか代表していない上院議員が、残り89%を代表する議員が賛成している議案の可決を妨げることができる。しかしこれは長所もある。妥協が必要になるので党派色が強い政策が通過しにくくなるのだ。今回の上院議員選挙の結果、民主党は59議席を確保したが、議事進行妨害を排除するために必要な60議席には届かなかった。これはオバマ大統領にとっては幸いなことかもしれない。上院が大きな拒否権を持つことになり、政策を実施するために共和党とも妥協せざるをえないためだ。医療制度改革でも地球温暖化対策でも共和党の支持なしに実行するのは政治的な自殺に近いので妥協は欠かせないだろう。