ビッグスリーを救済してはいけない理由

Carmakers : Saving Detroit (The Economist)
金融業界を公的資金投入で救済したのだから、自動車メーカーだって救済しても良いのではないかという声が大きくなってきた。特にビッグスリーが破綻することによって発生する失業が高水準に上ることが予測できる以上、なおさらこのような意見には説得力が増す。しかし経済システムが全面的に依存する銀行システム(しかも同業他社の破綻が競合他社にも大きな悪影響を及ぼす)と異なり、自動車業界は立場が異なる。多くの関連会社が存在するものの、経済全体に致命的な打撃を与えるような存在ではない。そもそもチャプター11を申請することにより、債務をリストラしつつ営業を継続するという選択肢もある。ただ自動車メーカーは、チャプター11を申請したような会社の自動車を消費者が買うはずもないと反論しているが、これも考えにくい。公的資金が投入されることで、経営が悪化した会社が無駄な資源を抱え続けるという点も経済全般には大きな問題だ。政治圧力に屈して自動車業界に公的資金を投入する羽目になっても、今後他の業界から同様の救済依頼を避けるために、優先株に投資するという選択肢を選ぶべきである。