悪の枢軸ならぬ、ディーゼルの枢軸

The anti-West : An axis in need of oiling (The Economist)
以前、ブッシュ大統領が批判していたのが北朝鮮イラク、イランの悪の枢軸だが、現在、反米意識を露骨に見せているのはディーゼルの枢軸とも言うべきロシア、ベネズエラ、イランの3国だ。原油高を背景に国力を増したこれら3国は反米行動(イランの核開発、ロシアのグルジア侵攻など)を見せており、当初はサブプライムローンが引き金となった米国発の金融危機も余裕を持って眺めていた。しかし金融危機が世界経済の鈍化を引き起こし、肝心の原油価格が大幅に下落するとそんなわけにもいかなくなり、財政面でおしりに火がついた状態になりつつある。
一番余力があるのが多額の外貨準備を抱えたロシアだが、ロシアの問題は原油価格の下落以上に生産量の減少にある。外国人投資家をさんざんいじめてきた経緯が仇となり必要な投資が行われていない。ベネズエラやイランはさらにまずい状況になっている。国家財政の多くをエネルギー資源の販売に依存しており、今まで稼いできた原油収入も気前よく大盤振る舞いしてきただけに、原油価格下落に備えた対策も行われていない。ベネズエラは南米での反米同盟を増やすべく近隣諸国に援助していたが、これも縮小せざるを得ない。原油価格の下落を防ぐためにOPECでの減産合意をイランやベネズエラは求めているが、もし合意できても守ることが出来るのかどうかは疑問符が付く。