市場メカニズムを使って水産資源を守る

Resources : Economies of scales (The Economist)
Fishing and conservation : A rising tide (The Economist)
水産資源は共有地の悲劇になりやすい。漁師それぞれが出来る限り魚を捕ることに必死になり、資源を枯渇させてしまうのだ。また漁ができる期間はどんな天候でも出漁してしまうのでけがや事故も多く、やっとのことで港に帰っても、漁師が一斉に魚をせりに出すので価格が暴落するという問題もあった。この問題を解決するために考えられたのが、漁獲量を一種の権利(individual transferable quotas = ITQs)として自由に売買できるようにする方法だ。解禁期間にリスクを冒してまで漁に出る必要が無くなるので価格は安定し、出来る限り長い間漁が行えるように資源を保護しようとする動機も漁師の間で高まってくることが期待されている。すでに導入されている漁場もいくつかある。しかしITQsを漁師に提供する際に、オークションを使って有償で販売する訳にもいかないので、割り当てにおいて政治の力が必要になり、配分が不公正になりかねないという問題や、そもそも最初から水産資源が少ない漁場では資源保護のインセンティブが発生しないという問題もある。漁師が割り当て通りに漁を行っているかどうかを監視することが重要になるので政府の監督が及ばない漁場(公海)では導入が難しいとも考えられる。ただこのような問題があるとしても多くの漁場において市場メカニズムの導入により漁師の生活と水産資源の保護を両立できると期待できる。