NHKスペシャル 病の起源

だいぶ前に「病気はなぜ、あるのか」(ASIN:4788507595)を読んでから進化医学には関心があったが、まさにこれがそうだ。楽しみに取っておいた。ようやく今日見ることができた。
第一回目は睡眠時無呼吸症。石器の発明と共に人間は狩猟能力を高め、柔らかい肉を食べることができるようになった。また堅い食物も事前に石器で柔らかく加工してから食べることができるようになる。その結果人間のあごが小さくなり、舌の収まるスペースに無理が生じてきたことが睡眠時無呼吸症が原因らしい。収まりきれない舌が寝ているときに気道を圧迫して睡眠時の呼吸停止を引き起こしてしまう。非常にやっかいな存在である舌ではあるが、人類は舌を自由に動かせることにより話す能力を獲得することができたとも考えられるので進化の副産物とも言える。
第二回目が皮膚ガン。人間は住んでいる場所に降り注ぐ紫外線の量に合わせて皮膚の中のメラニン色素を調整してきた。あまりにも日光が降り注ぐ場所では、紫外線が人体に悪影響を及ぼすし、逆に少ない場所ではビタミンD不足に陥ってしまう。このようなことにならないようにメラニン色素が最適なフィルターを作り上げてきたのだ。グローバル化が皮膚ガンを引き起こしているとも言える。長い時間をかけて適応してきた気候から異なる気候に移り住むことにより予想しなかった問題を引き起こす。日光が多い熱帯地域から日光が少ない地域に移り住むとメラニン色素が多いために日光を充分吸収できずにビタミンD不足になるし、反対に日光が少ない地域から日光が多い場所に移り住むと皮膚ガンになる可能性が高まってしまう。