新興国発のインフレ

Inflation in emerging economies : An old enemy rears its head (The Economist)
新興国では高い経済成長率を背景にインフレが加速している。ただ中央銀行や政府の対策は鈍い。そもそも公式な物価指標自体の信頼性が乏しい。インフレよりも経済成長を優先するために、金利引き上げは遅れがちだ。そのため実質金利はマイナスになっている新興国も多い。ドルペッグ制を取っている国にとっては金融緩和を進める米国の金融政策に従わざるをえず、金利引き上げを行うべきところ利下げに向かっている。
通貨切り上げを行うのもインフレ対策の一つだが、中途半端な切り上げでは、一層の切り上げ期待をもたらし、資本流入が加速、国内のマネーサプライを増加させ、インフレを悪化させることにもなる。ただ一気に大幅な切り上げを行うとしてもどの程度の切り上げ幅が適切なのかは判断は難しい。
エネルギーや食料を除いたコアは比較的安定しているとはいえ、新興国では食料がバスケットに占める比率も高く、インフレ期待が高まりやすいという問題もある。金融当局への信任が低いこともさらに問題を悪化させる。これが賃金の引き上げを求める声につながり、インフレスパイラルが加速することになる。