傷つきやすくなった世界で

傷つきやすくなった世界で 日経プレミアシリーズ

傷つきやすくなった世界で 日経プレミアシリーズ

読了。R25ですでに読んでいたものも多いが再度読んでも充分面白い。五木寛之のエッセイも最近読んでいるが通じる部分がありそうだ。弱者への優しいまなざしといったようなものを感じる。かといって単純な癒しでもない。

「深淵をのぞきこむ者はまた、深淵にのぞきこまれる」というニーチェの言葉が引用されていた。少年による猟奇的な殺人事件の報道に関するエッセイで紹介されていた。なかなか恐ろしい言葉である。知らなくても良いこともこの世には多く存在する。知ってしまうことがその人を破滅に導いてしまうかもしれない。ネットの普及は知らなくて良いことを知ってしまう機会を増やしてしまった。つまり深淵をのぞきこむ者を増やしていると言える。硫化水素による自殺方法なんかもそうだろう。かといって知りたいという欲求を抑えることも難しいだろうし、「知」といかに向き合うのか今後ますます大きな問題になるのだろう。