人口調査の政治学

Counting people : Census sensitivity (The Economist)
人口統計がこれほど大きな問題を含んでいるとは考えもしなかった。長い間、欧州では人口調査に対する不安が大きかったというが、原因がダビデ王にまでさかのぼるというのが面白い。人口を調査したところ、神の怒りに触れて災いが起こったので、このエピソードを知っているが故に、人口統計を行おうとは考えなかったようだ。数えられる民衆としてもあまりうれしいことではなかった。人口を数える目的が徴兵と徴税にあることは明白だったためだ。
現在でも人口調査が長年行われていない国が多いという。人口調査そのものが政治的な意味合いを持っているためだ。どの民族がどれだけの人口を占めているのかは、政治にも大きな影響を与えるためである。ドイツでは人口調査がナチスによるユダヤ人迫害につながったために人口調査はデリケートな問題だ。人口調査にどのような質問を入れるのか、この点も大きな問題となる。英国ではゲイ団体が人口調査にゲイかどうかに関する質問を盛り込むように求めている。