NHKスペシャル「人事も経理も中国へ」

いつもYahoo!のテレビ番組表で、「ドキュメンタリー」でフィルタリングをかけて予約すべき番組をチェックしている。しかし最近、この番組表データが間違っていることが多い。今回の録画もそうだ。10分程度早い時刻が提供されていたので最後のほうを見ることができなかった。
番組内容自体は非常に興味深いものだった。通販会社であるニッセンが総務部門まで中国にアウトソーシングしようとしている舞台裏を密着取材している。すでに同社は他部門ではかなりの業務を中国に委託している。もちろんすべての総務部門をアウトソーシングできるはずもなく、当初は部員達の抵抗もかなり大きかった。しかし経営側からの圧力はさらに大きく、しぶしぶアウトソーシングに同意させられたという格好だ。
番組に登場する大連の委託先会社を見てすこしショックを受けた。仕事に対するモチベーションが高く、日本語もかなり上手だ。仕事を請け負う場合でも理解力は非常に高い。話を聞いて他の中国人スタッフに理解できるようにマニュアル(しかも日本語)を手早く作り上げてゆく。この様子を見て、抵抗を示していた総務部員も感銘を受けるほどだった。
ただ、アウトソーシングすると、他の部署へのサービス低下は避けられない。明確に定義されたマニュアルに従った対応しか期待できないためだ。臨機応変に対処することは難しいだろう。どんどん仕事がマニュアル化されて、属人的な部分が排除されてゆく。そうなる残った社員達は何をすればよいのか、自問自答しなくてはならなくなる。日本企業なのでアウトソーシングしても人員削減は難しいので他の部署への異動などで余剰人員を解消せざるを得ないだろう。
ニッセンの事例を見ていると、自分の仕事が中国に渡ってしまう(しかも驚くような低価格で)様子を目の当たりにすると、社員のモチベーションも低下してしまうようだ。退社も相次いでいるという。経営陣は明言しないものの、これもコスト削減という意味では期待通りの結果なのかもしれない。
マニュアル化されたことで、海外に委託されてしまうとなると、社員は自らの身を守るためには自分の仕事を簡単にマニュアル化されないようにしていくしかない。無駄に仕事が複雑になっていくのではないかという気がする。