ETV特集「城山三郎“昭和”と格闘した作家」

録画しておいたものを見た。まだ城山三郎の作品を読んだことはないのだが、この番組を見て俄然読みたくなった。特に「落日燃ゆ」あたりを。ビジネス小説の作家という印象が強かったが、そうでもないことが分かる。組織の中で個人はどのように生きるべきかを問い続けた作家だった。所属する個人を幸せにするのが組織の目的なのに、組織そのものが目的と化し、個人が犠牲になってしまうのは軍隊も企業も同じであり、戦争小説とビジネス小説を両方手がけるのは一見するほど大きな違いはないのかもしれない。軍国少年でありながら、海軍での体験により価値観が正反対に変わってしまったことがその後の作家人生を大きく左右したようだ。