哲学の謎

哲学の謎 (講談社現代新書)

哲学の謎 (講談社現代新書)

昨日読了。一見単純な疑問でも掘り下げていくと頭がこんがらがってくる。実生活にはほとんど必要もない疑問(むしろ考えない方が楽かもしれない)だが、たまにはこんなことを考えてみるのもいいかもしれない。
少し前より、自由意思は存在するのかという疑問を時折考えてしまうのだが(最近読んだ本に影響されているのだろう)、この本の最後の章ではこの疑問への考察が展開される。人間を徹底的に分解すると分子に還元されるわけで、分子は物理学の法則に規定される。そこには自由はない。この分子でできあがっている人間には果たして自由な意思というものはあるのかといったようなことが対話により展開される。
いくつかの疑問を論じているものの、はっきりとした回答は得られない。あくまでも自分で考えるためのきっかけを提供するところに重きを置いているのだろう。
二人の人物による対話という構成になっているものの、どちらがどの発言なのが少しわかりにくいのが残念。AとかBとか書いておいた方が良かったかもしれない。対話には少し漫才のような雰囲気もあり楽しいが、決して理解しやすいというものではない。じっくり読まないとすぐに訳が分からなくなる。どこまで理解できたがあまり自信はない。