20060926

  • スズキ自動車の株価が急騰している。しかし今後の上昇に関してはアナリストの意見も分かれるところだ。同社はコンパクトカーを生産しているが、発展途上国、特にインドでのシェアの高さが大きな魅力だ。インドでは市場シェア5割を抱えている。安い乗用車を求める動きが同社の成長を後押しすると期待されている。また業績予想を上方修正したことも株価を押し上げた。しかしすでに同社のPERは他の国内自動車メーカーと比較してかなり高い水準にある。その上、最近発行した転換社債が上値を抑えるとの懸念もある。今後株価が上昇すると転換が進むと考えられるためだ。しかしPERは昔からずっと高く、過去平均と比較するとそれほど高くはないと見るアナリストもいる。また上半期の業績発表と同時に再び業績予想を引き上げるとの見方もある。

  • アルゴリズム・トレーディングは証券会社や投資銀行にとっては必要不可欠となっている。顧客である機関投資家などからのニーズが高いためだ。しかし証券会社はジレンマに陥っている。アルゴリズム・トレーディングシステムを開発するのは、予想以上にコストがかかり、コストに見合った収益を稼ぐことが難しいためである。そのため証券会社も戦略を変えつつある。自己勘定のトレーダーが用いているのと同じアルゴリズム・トレーディングシステムを顧客に提供することで、コストを抑えたり、マーケットのニッチを攻めることで競合を避けようとしている。今後のアルゴリズム・トレーディングの進化はヘッジファンドから出てくるとみる専門家もいる。一定の手数料しか受け取れない証券会社と異なり、ヘッジファンドは成功報酬を得ることができるためにトレーディングのコストを引き下げるアルゴリズム・トレーディングシステムの開発への動機が大きいためだ。

  • 女性管理職を対象にした研修が盛んになっている。多くの大学が女性管理職のみを対象にした研修プログラムを運営しており、多くの会社が自社の女性社員を送り込んでいる。女性管理職の数は増えているものの、上級管理職になるとまだまだ少ないのが、このようなプログラムの人気の背景にある。男性と比較して女性管理職が遭遇しやすい問題や、同じ女性管理職同士で交流を行えることが大きなメリットとなっている。

  • Unit investment trusts(UITs)はミューチュアル・ファンドと異なり、償還日が決まっている。そのためかつては個人投資家が購入するには単位が大きすぎる地方債を購入する手段として利用されてきた。しかしその後の金利低下により債券の魅力が低下、同時に債券のミューチュアル・ファンドが普及してきたことから、 UITsに占める債券運用は低下している。代わりに浮上してきたのが株式投資だ。様々な戦略を用いた株式ファンドがUITsの形態で提供されている。人気が高いものの一つがダウの負け犬戦略(Dogs of The Dow)を実践したファンドだ。ただ償還日が決まっているということは、長期間運用しているファンドが存在しないと言うことであり、投資する際に当たって参考できる運用成績がないということでもある。そのためバックテストに依存せざるを得ない。また手数料が高いのも批判を受けている。
    ダウの負け犬戦略とは、ダウ30銘柄のうち、配当利回りが高い10銘柄を選び、1年間投資、1年後に再びその時点での配当利回りの高い銘柄に投資するというものだ。リターン・リバーサルともいうのかな。しかしもっとも配当利回りが高い銘柄は減配リスクが大きいと考えて、2位から10位までの銘柄に投資するという修正ダウの負け犬戦略もある。
  • ウォルマートは、田舎では大きな存在感を誇っているが、都市部ではまだまだ浸透していない。しかし今後は都市部にも大量出店するという戦略を進めている。そのために、今までのような画一的な店舗構成を改めて、地域特性を生かした店舗に切り替えている。ただ都市部での新規開店は難しい。住民の反対運動が強いためだ。地域の小規模企業が危機にさらされ、文化が破壊されてしまうとの懸念が大きい。今までも住民による反対運動はあったが、より運動の方法も洗練されている。政治家に働きかけてウォルマートを事実上閉め出すような条例を制定させている。マサチューセッツ州のようなリベラル色が強い町では特にそのような傾向が強い。ただ全米全体で見ると、必ずしも新規開店が阻止されているというわけではない。

  • 医療費の高騰を受けて、医療保険の保険料も上昇している。そのため従業員に福利厚生の一環として医療保険を提供している企業には大きなコスト増加となる。この事態を受けて自己負担が大きい医療保険に切り替える企業も多い。自己負担が大きいので企業が負担する保険料も低いためだ。逆に従業員には負担が増加することになるが、その補填としてブッシュ政権が導入したhealth savings account(HSAs)を導入する場合が多い。この口座に企業がいくらかお金を拠出し、従業員も非課税で拠出することができる。あたかも401Kと同じようなものだ。しかしこのHSAsでは、用途が医療関連の支出のみに限定される。自己負担が高いので、患者は普通のサービスを購入するように、比較した上で医者を選び、無駄な医療サービスを購入しなくなると期待される。しかし導入した企業には思わぬ負担が発生している。医療サービスの選択に関してアドバイスを求められるためだ。社員との関係を考えると無視するのも難しい。ただ相談を受けると、どうしても社員の健康状態を詳しく知ることになってしまい、のちのち訴訟問題に発展する危険性もある。病気を理由に解雇されたと訴えられる可能性があるためだ。