20060821

月曜日なのに結構読んだ。5時30分に起きたのが良かった。

  • プライベート・エクイティ・ファンドは、今まで比較的容易に上場企業を買収することができた。業績が低迷している企業にプレミアムをつけて買収提案を行えば、取締役としては株主を怒らせることを避けるためにも買収提案に同意する可能性が大きいためだ。しかしファンドは、買収した企業をリストラして短期間で多額の売却益を稼ぐようになったことから、株主もファンドが安い価格で買収しているのではないかと不満を見せるようになっている。ファンドが買収しなくても、現在の経営陣が自らリストラを行って、その果実を既存の株主に提供すれば良いのではないかという訳だ。何もファンドにその果実を独占させることもないということである。このような動きが徐々に広まってきた。大口株主が経営陣に対してファンドへの売却よりも、自らリストラを行うべしと注文をつけるようになっている。この代表例がVNUの買収劇だ。最初はファンドへの売却で取締役会も同意していたものの、株主の主張によりファンドも価格をつり上げざるを得なかった。このような行動が広まることで、完全買収ではなく少数株式の買収に戦略を変更するファンドもある。株主にとっては、経営陣・取締役と株主の間に利益相反があるのではないかとの懸念もある。ファンドに買収されても経営陣はそのまま居座り、高額な報酬が提供されるためだ。

  • フロリダのキューバ亡命者の間では、カストロの物まね芸人が高い人気を集めている。先日カストロが胃の手術を行って、権限を一時的に弟のラウルに委譲すると発表したことは、フロリダのキューバ人亡命者を大いに驚かせた。政治体制が変化する可能性を見いだしたためである。物まね芸人もこのトレンドを敏感に察知しており、レパートリーとしてラウルの物まねを取り込んでいる。カストロの物まね芸人としては人気・実力とも高い人物が二人存在している。そのうち一人はキューバカストロ本人に会ったこともあるという。似すぎているために、カストロ本人に影武者として活動するように求められたほどだ。カストロと偽って、キューバ政府の大臣に電話をしてもばれることもないというほど似ているという。

  • 投資は簡単で、馬鹿でもできる。しかし馬鹿になりきれないので多くの失敗をしてしまう。たとえば過去の運用成績を見てそれをそのまま将来の期待としてとらえてしまうような行為がある。このような考え方により、多くの投資家を金や商品先物投資へと向かわせた。逆も同様だ。過去の運用成績が悪いと今後の成績も悪いと単純に推定してしまうという問題もある。また購入価格や直近の高値を意識しすぎるという過ちもある。不動産市場では市況がピークを過ぎると、売買が一気に落ち込むという現象がある。直近の高値を下回る価格で売却したくないと考える売り手が多いためだ。株と違って不動産は日々の価格が分からないために、現実を見失うことが多い。

  • オークションサイトを運営しているeBayの株価は過去20ヶ月で50%以上も下落している。しかしウォール街ではCEOのWhitman女史に対する信任は依然強い。しかしeBayで商品を販売している売り手たちは経営陣の刷新を求めている。同社のサイトで販売している商店は、買い手が急速に減少している現実を指摘しており危機感を感じている。同社の成長率は鈍化しているものの、まだ成長が止まったわけではない。しかし取引毎に得られる手数料は減少に転じている。Whitman女史の今後に対する不安感もある。同社では経営幹部が相次いで退社しており、後継人事が懸念されている。Whitman女史に対しても昨年ディズニーに転じるというニュースが浮上したようにいつまでも同社にとどまっている訳ではないという見方がある。同氏は10年以上同じ会社のCEOを勤めていてはいけないと話しているが、同氏がeBayのCEOに就任したのが1998年なので10周年になる日も近い。投資家はeBayの株価が割安であることを評価している。実績PERではアマゾンやヤフー!と同じ程度だが、予想PERではこれらの半分程度という安さだ。

  • イスラエルヒズボラへの軍事行動を開始した際には、短期間でかなりのダメージを与えることができるとの楽観論が支配していた。しかし1ヶ月以上経過した現在、今回の戦闘で勝利したのはイスラエルというよりもヒズボラであったことが明らかになりつつある。なぜイスラエルヒズボラの制圧に失敗したのか。まず地上戦ではなく空爆中心で攻撃を行ったことが一つの原因とみられる。占領という忌まわしい記憶があったために地上戦よりも、自軍に犠牲が少ない空爆を進めたが、この戦略は軍隊と政治家との不協和音を生み出した。予想以上にヒズボラが高性能な武器を多数保有していることも誤算だった。ヒズボラの善戦は中東世界でのヒズボラの支持を高める結果にもつながっている。スンニ派シーア派との対立もいっそう激しくしたという効果ももたらした。ヒズボラの軍事力が予想以上に大きいことが、国連軍の編成にも問題が生じている。レバノン内部では当初はイスラエルを支持していたものの、最近はヒズボラ支持に傾いている。その結果停戦条件としてイスラエルが飲めないような条件を提示している。ヒズボラを支援してきたシリアとの交渉する場合には、ゴラン高原の返還が大きな問題になりそうだ。
    イスラエルに関する記事を連続で読んだ。世界最強というべきイスラエル軍に対して喧嘩を売るとはヒズボラも根性ある。イスラエルのポリシーは「目には目を」ではなく「目には命を」ぐらいの過剰報復なのだろう。このまえ読んだ「つきあい方の科学」(ASIN:4623029239)では、過剰な報復は協調関係が生まれるのを阻害するといったようなことが書いてあった。結果的に両方とも損をすることになる。