20060728

  • ただ飯はないというのが常識だが、製薬業界ではただ飯が存在する。昔は製薬業界では医者に対して様々な接待が行われていた。しかし過剰な接待が禁止されるようになり、製薬業界は別のアプローチを生み出した。昼食で医者を接待するのだ。医者だけではなく看護婦などのスタッフにも提供される。金額が少ないだけに問題ないと製薬業界は主張しているものの、ただ飯の効果はきわめて大きいことが営業マンからは指摘されている。自社の薬品を処方してくれる場合が増加するというのだ。小額といえども医者の判断に影響を及ぼすような接待は問題であるとして病院によってはただ飯を禁止するところもある。ただ飯が製薬業界でマーケティングとして利用されるに伴い、Lunch and Earnといった外食企業まで誕生した。医者は忙しく、昼食ぐらいしかゆっくり話す時間はなく、貴重な時間をもらうのだから食事代ぐらいは負担しても問題ないと考える製薬会社もある。
    多分、日本でもおなじだろう。
  • ロックに熱中する経営者たち。現役バリバリの経営者たちはロックを聴いて育った世代でもある。若いころの夢だったロッカーとしての人生をあきらめきれない人も多く、経営者として仕事をしつつも夜にはクラブで演奏している人もいる。上場企業のCEOから、弁護士、買収ファンドのマネージャーなど様々なビジネスマンが演奏に熱中している。お金は持っているだけに楽器業界も新しい顧客層として大いに注目している。バンド仲間を見つけるためのサービスまで登場した。このサービスを利用すると同じビジネスマン同士でバンドを組む相手を見つけることができる。豪華なスタジオを作り、宅録を行うビジネスマンもいる。

  • 日本航空(JAL)は最近、安全面での問題を多く抱えている。そのため乗客もライバルのANAに流れ、JALの業績は悪化している。そんな中同社は大胆な試みを行っている。1985年8月に発生した同社の飛行機の事故(史上最大の死者を出した)を展示するための博物館を羽田空港に設置したのだ。安全というイメージを維持するための航空会社は努力していることを考えると、自社の事故の悲惨さを展示するスペースを設けるのは業界内でも例のない行動である。前経営者の発案で生まれ、多くの従業員にこのスペースを訪れることを求めている。社員以外でも前日に予約をすれば見ることができるという。事故でなくなった人の遺族も訪れている。

  • ヘッジファンドの規模が大きくなるにつれて、証券会社にとっても重要な顧客になりつつある。ヘッジファンドは大量の売買注文を出すほか、信用取引も行い、デリバティブなども手がけるため、証券会社には非常に収益性の高い顧客になる。そのため証券会社にとっては利益の半分がヘッジファンド向けで占められるとの推測もある。このような大事な顧客に対しては一番に有用なデータを提供するというインセンティブが生まれやすい。当局はヘッジファンドが極秘情報を証券会社より入手しているのではないかとの懸念を持っている。問題となっているのが、フランスの通信機器メーカーであるアルカテル転換社債発行の際におけるヘッジファンドの行動だ。このヘッジファンド、Marshall Waceは市場での需要予測を打診する証券会社の情報を元に、転換社債の正式な発表前に大量の同社株を売却したとの疑いがもたれている。同ファンドはもともとマーケットニュートラル戦略を行っていたものの、その後は魅力的なアイデアを見つけることができなくなり、方針を転換している。証券会社から集めたトレーディングアイデアを元に取引するようになった。このファンドでは証券会社からのアイデアをコンピュータで管理し(TOPSというシステム)、どの程度うまくいったのか分析している。ファンドのリターンに貢献したアイデアを提供した証券会社は多くの発注(手数料)を得ることができるので、証券会社には機密情報すれすれのアイデアを提供するというインセンティブが生まれるのだ。

  • 不法移民に対する締め付けが厳しくなるなか、老人介護の現場では人手が足りなくなるとの懸念も強い。ベビーブーマーの高齢化により老人介護のニーズが増加するなか、介護人のなり手が少なくなっているので不法移民にに対する依存度が高まっている。介護サービスを提供する企業はビザの発給拡大に向けてロビー活動を進めているが、議会ではあまり好意的な反応はない。ベビーブーマーの退職の影響で多くの産業で人手不足になると見られるなか、介護サービスだけ特別扱いするのもおかしいと考えているためだ。また介護の労働条件は厳しいだけに、低賃金で働く移民が大量に流入してくるといつまでも労働条件の改善が進まないとの見方もある。
    「介護人」と書くと例の小説を思い出す。