20060726

  • プライベート・エクイティ・ファンドM&Aの世界で存在感を高めている。M&Aに占めるファンドの買収の比率は上昇している。高い収益を上げているこの分野には投資銀行までもが参入しており、ゴールドマン・サックスは最大規模のファンドを運営している。今まではファンドはリスクをとって企業を買収し、長期間保有した上で資金を回収するというビジネスモデルであった。しかし最近ではこのモデルがひっくり返っている。買収してすぐにファンドは、買収した企業から収益を得ている。まずファンドが提供するコンサルティングサービスに対する費用の請求である。また利益が出ていないにもかかわらず、債務を負担させてまで配当や株式買戻しという形式でファンドに収益を還元している。その際に発行される債務はジャンク扱いのものがほとんどだ。 Intelsatが好例だが、買収してから従業員に対する福利厚生が大幅に削減される場合もある。できる限り収益力を高めるためにコストを切り詰めているのだ。設備投資をはじめとするコスト削減は将来の成長力を低める可能性も有している。
    WSJではプライベート・エクイティ・ファンドの連載記事をはじめるようだ。この記事が第一回目。分量は多いが読みやすい。
  • 病院チェーンのHCAがKKRなどのプライベート・エクイティ・ファンドに買収されることになった。コンソーシアムを組んで買収するのだが、この中には HCAのアドバイザーを長年務めてきたメリルリンチも含まれている。投資銀行にとっては高い収益を得ることができるプライベート・エクイティ・ファンドは見過ごせないビジネスだ。ただ顧客であるファンドとの競合の問題もある。そのためJP Morganなどでは規模を縮小する動きもあったが、再び投資銀行業界ではファンドビジネスへの取り組みを強化している。メリルリンチではファンドとの競合を避けるためにコンソーシアムに参加するという形態をとった。またアドバイザー(企業を高い価格で売却するように努力する必要がある)とファンドの投資家(企業をできるかぎり安い価格で買いたい)という利益相反関係を克服するためにも、いくつかの対策をとったという。

  • 霧で有名なロンドンをはじめとする南イングランドでは水不足に悩まされている。ホースの利用制限をはじめ、プールの利用禁止などの対策が打ち出されている。市民生活にも大きな影響を与えており、イングランド文化の一つであるガーデニングにも影響が出ている。水を多く必要とする品種ではなくサボテンなどの水を必要としない品種を植えるように政府が促しているのだ。バッキンガム宮殿の芝生は水を与えていないために茶色に変色している。水不足の原因は夏の気温上昇に加えて、暖冬と見られている。地球温暖化の影響だと指摘する人もいる。給水設備がビクトリア朝時代に建設されたものであるために、3分の1が漏れてしまうというのも水不足を深刻にしている。また皿洗い機の普及や単身世帯の増加も水利用の増加につながっている。水道会社は対策として氷山をイングランドまで持ってくるというアイデアまで検討したが、現実的な解決策として、海水を飲料可能な水に変換する設備を建設する計画を進めている。

  • Chris Andersonのベストセラー本、The Long Tail(ASIN:1401302378)に対する批判。世の中の動きを見るとこの本で主張しているほど、tailの存在感が高まっているようには見えない。逆に少数のヒット作品の売上への依存度が高まっているようにさえ見える。tailの存在感が高まるのは多様性の観点からは望ましいものの、このような状況になるにはまだまだ時間がかかりそうだ。

  • 運動選手の中にはプレーや練習中に心臓発作に襲われる人も多い。心臓に問題のある選手は大学などのチームでは強制的にベンチ入りさせられてしまう場合が多い。しかし心臓に問題のある運動選手に強制的にスポーツをあきらめさせるのが妥当なのかどうかという点に関しては長年議論があるところだ。医者からのOKサインをもらうために、問題を抱えた運動選手は様々な医者を探し回ることもある。このような医者の一人がDavid Cannom氏だ。同氏はケースバイケースでスポーツすることを認める診断を行っている。心臓の心拍をコントロールする除細動器 (defibrillator)を体内に埋め込むことで激しい運動でも耐えることができると同氏は主張している。ただ同氏のような医師がゴーサインを出しても、大学チームでは試合中に選手が亡くなるという悪いイメージを避けるために、簡単には選手として受け入れることはないようだ。