20060623

  • 最近の世界的な市場の混乱により、ヘッジファンドでは大きな危機に直面しているのではないかとの懸念がある。LTCM危機の再来への懸念だ。しかし現在のところヘッジファンドの閉鎖はあるものの、限定されており、特定のヘッジファンドの問題が市場全体に広がる様子はないようだ。ヘッジファンドの問題が大きくならないのは、まず投資家がファンドを解約するのを難しくしているという点がある。これにより解約資金を調達するために資産を売却しなくてはならない事態を防ぐことができる。またファンドでは投資銀行や証券会社から信用枠(クレジットライン)を取得しているが、証券会社側が信用枠を削減するのを困難にしていることも危機の広まりを抑えていると指摘されている。ただファンドにおけるレバレッジは高い水準であり、ファンドだけではなく投資銀行のトレーディングデスクも同様の取引を行っていることから投資銀行における問題が発生する可能性もある。

  • 移民問題が米国政治を大きく動かしているが、逆に移民を送り込んでいるメキシコでも大きな問題になっている。多くの男性が外国に出稼ぎに行ってしまうために選挙戦が難しくなるのだ。有権者数の減少で選挙区が統合された箇所もある。不在者投票をするような出稼ぎ労働者はほとんどいない。選挙戦略も大きな見直しに直面している。お金をばらまこうにも出稼ぎ労働者から資金が送られてくるために魅力が少なくなっている。

  • Time Warnerの株価が低迷している。ディズニーやComcastなどのライバルの株価が上昇しているだけに目立つ。同社にはしばらく前はカール・アイカーン氏による事業分割のプレッシャーがかかっていた。しかし同氏も手を引いたことが株価を押し下げることになっている。加えて、同社で好調だと見られていた事業(映画や雑誌部門)で鈍化の兆しがでていることも投資家を不安にさせている。そのため再び事業分割の声が高まる可能性がある。同社は音楽部門や書籍部門を売却したものの全面的なリストラは避けてきた。同社を取り巻く懸念材料としてはネットへの移行が遅れているのではないかという点がある。Time誌の広告はネットへの流出により低迷しているほか、TNTなどのケーブルチャンネルは自社制作のコンテンツが少ないためにwebによる放送を行う機会も少ないと見られている。同社の事業ポートフォリオの中で明るい点が、ケーブルシステム部門である。高速ネット回線やIP電話の需要とともにケーブル加入者が増加しているためだ。ケーブル部門はIPOを行うものの、放出するのは一部の株式のみで投資家の中には完全に分離すべきとの声もある。