20060527

土曜日にしては結構読んだ。昨日の積み残しも含む。本日のWSJも面白い記事が満載。Sim Cityウィル・ライト氏の特集記事なんてのもある。

  • デジカメがフィルムカメラを駆逐しつつあるが、デジカメにはフィルムカメラに劣る点が一つある。それはボタンを押してから実際に撮影されるまで時間がかかることだ(Shutter Lag)。これはデジタルセンサーを準備するのに半導体が様々な処理をする際に要する時間である。2秒程度かかる場合もある。そのため絶好のシャッターチャンスを逃してしまうことも多い。フィルムと異なり、デジタルカメラはセンサーであらかじめ調節しないとまともに撮影できないのだ。ユーザーからの不満が大きいことはメーカーも充分理解しており、処理速度の向上を進めている。800ドル以上するような高級機種では許容範囲に収まるまで時間は短縮されているが、平均的なユーザーが購入する300ドルレベルではまだまだの状況だ。どれだけがんばってもフィルムカメラと同程度の速度は実現できないという。ユーザーは対策としてあらかじめ被写体の動きを考慮してシャッターボタンを押すといったことをしている。
    shutterbugsという英単語を知った。写真愛好家だそうだ。
  • オーディオのデジタル化が急速に進展している。その結果、CDをとっかえひっかえ高級ステレオで聞くという人は少なくなってきた。iPodなどのデジタルプレーヤーに取り込んで聞くようになったのだ。これは大変便利な方法であるが、便利さの代償として音質を犠牲にしていると感じる人も多い。しかしいくつかの技術が登場しており、デジタルミュージックの音質を向上させてくる可能性が高まっている。二つのアプローチがあり、会社毎にそれぞれ異なる方法を採用している。まず録音自体を優れたものにするというアプローチである。こちらではAMDがopetronを使ったレコーディングシステムを提案している。もう一つの方法は再生時に優れた音質を実現するという方法であり、ドルビーやSRS Labs、Creative Technologiesなどが様々なテクノロジーを開発している。人間の心理を利用してより臨場感を感じさせるように音を加工してしまうというのがこれらの技術の根底にある。
    私はあまりiPodを聞いても音が悪いとは感じないなあ。高いビットレートエンコーディングしているせいかもしれない。
  • ハイテク業界の景気がよい。株価も上昇していることもあり、ハイテク企業の経営者による不動産投資の動きも目立っている。特にハワイでこの傾向が顕著である。カリフォルニアから飛行機で5時間程度で行けるので魅力的な場所となっている。Salesforce.comのCEOであるマーク・ベニオフ氏もハワイに広大な土地を購入して大邸宅を建築している一人だ。この土地をめぐる同氏の動きを見ているとハイテク業界の浮き沈みがわかる。同氏は自宅を建設するためにハワイに建設会社まで設立している。マウイ島は特に人気で、多くの経営者が邸宅を構えている。現地の空港にはプライベート・ジェット機が定期便よりも多くやってくるという。

  • 多くの親たちが自分の子供の写真を友人や家族に送りつけるようになった。デジカメの普及や写真共有サイトの普及がこの流れを加速している。メールに添付される写真の数は急増しているが、多くが子供の写真であると見られている。ハイテク機器を使いこなす親が増加するにつれて赤ちゃんの写真を送りつけるというトレンドはますます加速しそうだ。中には赤ちゃんの写真だけではなく、超音波で撮影した胎児の写真まで送りつける親までいる。親しい友人から送られてきた写真ならうれしいものの、あまり親しくもない人から多くの写真を送りつけることにはストレスを感じる人もいるようだ。中には一度会っただけのお客から赤ちゃんの写真を送りつけられたという経験を有する人もいる。マナー専門家の話では、同じような写真をやたらと送りつけるのは良くないとしつつも、受け取った側でもそれに不快感を示すのも良くないとしており、言外に写真を望んでいないとのニュアンスを示しながら返事を書くことを勧めている。
    親バカには限界がない。鮮明なデジタルイメージで行動が逐一記録された子供はどのように成長するのか興味がある。なんらかの影響があると思うのだが。
  • 台湾株式市場は最近急落している。全世界の株安の影響も大きく受けているものの、台湾独自の悪材料も市場を悪化させている。それは会計処理方法の変更への懸念である。台湾では従業員に対する報酬の一部として、株式を与えてきた。米国企業で見られる制限株の付与とは異なり、すぐに売却できるのが特徴である。また台湾の会計処理では株式を従業員に与えた場合でも費用計上する必要がない。気前よく従業員に株式を提供すると希薄化が発生し、既存株主が損失を受けるとの批判が大きかった。従業員にとっては会社からもらった株式を売却した際にかかる税金は非常に低いのも魅力の一つだ。というのも株式の額面に対して課税されるためである。外部からの批判を受けて、政府は会計処理の方法を変更する見通しとなった。現在どのように処理するか検討が進められており、株式の時価を全額費用計上するとの案が出ている。もしこの案が実現するとひどい場合には純利益の半分がなくなってしまう企業もある。すでに投資家の中にはこの材料を織り込んで売買している向きもあるが、個人投資家はまだこの問題を把握しているようには見えず、ハイテク株の上昇余地は小さくなるとの指摘もある。しかし業績は好調であることから、この問題で株価が急落するようなことがあれば買い場と見るアナリストもいる。