CBSドキュメント20060427

27日放映分を見た。いつもは3本立てなのだが、今回は珍しく1本のみ。しかも10年以上前のレポート。タイトルはMurrow vs McCarthyというもので、マーカーシー上院議員が始めた米国における赤狩り運動に関するものだ。共産党員と付き合っているだけでも容赦なく槍玉にあげられ、職を失い、人生が破壊されてしまう人も多数発生していた。恐怖に支配されていたこの時代に、立ち上がったのがCBS NewsのEd Murrowというジャーナリストだ。会社を首になることを覚悟の上で自分がキャスターを務める「See It Now」という番組でマッカーシーを攻撃した。効果的な攻撃により、その後はマッカーシーの人気も凋落し、マッカーシー自身のプライドも傷つき、酒におぼれて亡くなってしまう。
一方、マローのほうも、番組を放送したときがキャリアのピークであり、その後はテレビというメディアが娯楽に移行するにつれて、硬派な報道番組を作ることが難しくなりストレスを抱え込むことになる。ケネディ政権入りするものの、ドクターストップで退任、肺がんで亡くなってしまう(一日4箱も吸うというヘビースモーカーだった)。

マッカーシーによる赤狩り魔女狩り)は、特にマッカーシー本人による強い主張が込められたものではなかったようだ。根っからの反共産主義者というよりも、選挙民の受けを取るために派手な発言をしたのがきっかけというからいい加減なものだと思った。
マローがマッカーシー攻撃のために放送した番組も、現在では容認できないような編集(視聴者を誘導するようなもの)が加えられているという。しかし当時は恐怖時代であり、止むを得ない行動だったと考えられているようだ。

なぜ10年以上前のレポートを報道したのか。もうすぐ公開される「Good Night, and Good Luck」という映画にあわせたものだと思う。キャスターの二人も絶賛していた。確かに今回のレポートを見ているとなかなか興味がわいてくる。Good Night, and Good Luckという題名は、Ed MurrowがSee it Nowのエンディングで言う決まり文句みたいだ。