アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

半分程度読んだ。この本のテーマは何なのか、いまだによく分からない。ファインダビリティとは情報の検索しやすさを意味する言葉らしい。必ずしもネットの世界に限定されたものではない。リアル社会でも都市において迷わずに目的地にたどり着くためにも必要なことだ。
この本では様々なサービスがテクノロジーが紹介されていて、それを見ているだけでも充分面白い。たとえば排出物を自動的に分析してくれるトイレや、経口錠剤型カメラは非常に興味深い。錠剤を飲んで消化器を通る間にカメラが内部の様子を撮影するというものだ。胃カメラなんて過去の遺物になってしまうのだろう。
スペインのクラブでは、RFIDを体に埋め込んでおくと(注射でOKらしい)、顔パスで入場・つけ払いができるようになるという。

ネットにより多くの情報を取得することができ、それは個人の力を増大させることにもなっているが、情報が多くても活用しきれない。技術が進化しても人間の能力はそれを活用できるまでには進化していないためだ。

72ページに「人間の行動の多くは潜在意識からくるもので、意識的な気づきに上がらないということである。進化においても、脳が情報を処理する方法においても、意識は後からやってくる。多くの判断は意識に上がる前になされているのだ。」という記述があるが、「ユーザーイリュージョン―意識という幻想」(ASIN:4314009241)を連想させる。

P41ページにおけるメタファーの記述「われわれが普段、ものを考えたり、行動する際に基づいている概念体系の本質は、根本的にメタファーによって成り立っているのである。」は「神々の沈黙」(ASIN:4314009780)も連想させる。ウェブの世界でも同様だ。物理的な空間ではないのに、goとかnavigateとかいう物理的な空間で用いる単語を利用している。メタファー自体はテクノロジーが進化しても簡単には変化しないのだろう。もしくはうまくメタファーを結びつけることができないテクノロジーは利用されないということも意味しているのかもしれない。

あと、「それは「情報」ではない。」(ASIN:4844356097)も関係していそうだ。