20060130

以下の記事を読んだ。6時25分起床。旧正月のせいか、Heard in Asiaは休載。

  • Pixarが成功したのは、ハリウッド的な方法を否定してきたためである。ハリウッドの方法は、一つの台本を中心に優れた人材を集めてプロジェクトを形成するものだ。そこには企業に対する忠誠心など存在しない。同社のやり方はプロジェクトに投資するのではなく、人材に投資するというものだ。Pixarは有名な監督でさえも同社の社員となっており、会社の長期的な利益の実現に向けて大きなインセンティブが存在する。同社にはPixar Universityという研修機関が存在し、社員であれば誰でも(警備員でさえも)映画作りの様々な側面を学ぶことができる。授業では社長も平社員も関係なく机を並べて学ぶ。経理スタッフが絵の描き方を学んでも良い。仕事に一見関係なさそうに見えるが他人の仕事に関心を持たせるという狙いがある。
    ピクサーに関する記事の中では一番面白い。大学まであるとはすごい。なんとなく日本的企業のような印象も受ける。
  • 心臓発作の患者は急いでAED(自動体外式除細動器)を用いて蘇生しないと亡くなってしまう。AEDが一番普及しているのがカジノというおもしろい状況になっている。カジノの顧客は高齢者が多く、喫煙しながらギャンブルを行うために心臓発作になる可能性が高い。ある医療補助員がカジノ業界を説得して施設内にAEDを設置させることに成功した。カジノ業界の取り組みは注目を集めている。当初は施設内にAEDを設置することには慎重な意見が多かった。間違って操作した場合や手遅れだった場合にはカジノ側に法的責任が生じる可能性があったためだ。しかし先行して導入したカジノで運良く救命することができたことがきっかけで、急速に導入が進むことになった。逆に導入しないと心臓発作で倒れた顧客より責任を追及される可能性が出てきたためである。現在ではカジノで倒れる顧客のうち多くが助かっており、後遺症も少ない。監視カメラで顧客をチェックしており、倒れるとすぐに駆けつけることができる。警備員も日頃からAEDの操作方法の訓練も受けている。
    妻もAEDの訓練を受けたらしい。
  • ロビイストが議員の選挙資金調達責任者も兼任するケースが増加している。このような状況ではロビイストによる議員への影響力が一層大きくなると見られ、懸念する声も大きい。最近はロビイストの犯罪もあり、ロビイストの規制法案が議会でも審議されているが、どの法案でもロビイストと選挙資金責任者を兼任させることを制限するような条項は含まれていない。特にロビイストが選挙資金で大きな役割を果たしているのが、Leadership PACと呼ばれる選挙資金団体である。これは議員が親しい議員の選挙資金を援助するために設立されるものである。当落線上で競っている議員にこの団体を通じて選挙資金の援助を行う。このような援助行為を通じて議員は議会内での支持者を増やしていくのだ。これが院内総務などを競う際に大きな武器になる。
    議員が選挙資金の援助を通じて子飼いの議員を獲得するというのは日本の派閥みたいで興味深い。
  • フィンランドは山が少ないために、山岳トレーニングの点で隣国のノルウェイスウェーデンに不利な状況となっている。フィンランドの伝統的なスポーツであるクロスカントリーは高地で練習するほうが、赤血球を増加させることができスタミナを蓄えることができるのだ。フィンランドは予算不足のために外国の高地にまで遠征することもままならない。そのためフィンランドの科学者が開発したのが、人工的に高地状態を生み出す装置である。この装置の中では気圧は平地と同じでありながら、酸素を減少させることができ簡単に高地トレーニングを行うことができる。しかしもうすぐイタリアのトリノで開催されるオリンピックではこの高地トレーニングが禁止されているのだ。世界的に見ても数少ないのだが、イタリアでは人工的に高地状態を生み出す装置を禁止している。そのため外国チームはこのような装置をイタリア国内に持ち込むことができない。

  • 金融業界には様々な資格が乱立している。当局でさえすべてを把握できないほどだ。資格乱立の背景には、いかに自分たちを信頼できる専門家であるか、消費者にアピールしようとする業界の思惑がある。多くの資格があるが、その中でもCFPやCFAなどは高い評価を集めている。数年にわたる準備がないと資格取得ができないためだ。しかし中には数時間程度の受講で簡単に取得できる資格もある。このような状況の中で、SECは対策に乗り出した。フィナンシャル・アドバイザーなどと紛らわしい名称を用いる証券営業マンに対する規制である。このような場合には自らが営業マンとして行動するのか、フィナンシャル・プランナーとして行動するのか事前に顧客に明示しなくてはならない。FPとして行動する際にはSECへの登録も求められる。営業マンとして行動する場合は適合性の原則に、FPとして行動する際には受託者責任が求められることになる。