20051231

今日は一つのみ。

  • 中国の健康保険制度の問題。昔は国営企業や集団農場で医療サービスが無料で提供されていた。しかし市場経済への移行により民間企業での雇用者が増えたために、健康保険制度の改革が行われている。基本的な健康保険制度が政府により提供され、雇用者と被雇用者が保険料を拠出するようになった。しかし保険に加入していない雇用者も多く、全労働者の半分以上が未加入となっている。しかも保険に加入している場合でも家族には保険が適用されないという問題もある。それ以上に保険制度で問題なのが、保険の対象となる治療が制限されていることだ。先進的な治療の多くが保険対象外となっており、このような治療を受ける際には患者は自己負担しなくてはならない。また保険では不適切な治療が行われたり薬剤が投与されていないかチェックする仕組みがないために病院は収益を増やすために過剰なサービスを行うことになる。他国では例がほとんどないが。医者の給与自体が収益と大きくリンクしているのだ。このような現実はガンや脳卒中などの重い病気にかかった際に直面することになる。中国の病院では緊急手術の際にでも代金を前払いしなくてはならないので、患者の負担はかなり重くなる。病気が原因で借金苦に陥ることもある。そのため社会の不安定さが増す可能性もあり、政府も対策に乗り出しているが根本的な解決には至らない。そのため民間保険会社(AIGなど)が提供する医療保険は国民にとって必需品となりつつある。
    しばらく前にもPage Oneで同様の記事があった。中国ではまさに医は算術といったところか。しかし米国版のWSJのトップになぜこれほど中国の健康保険制度が取り上げられるのか不思議。これが良さでもあると思うのだが。