経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには 中公新書

この本も面白い。インセンティブという観点から人間の行動を分析する。この本で言う経済学的思考とは社会における様々な現象を、人々のインセンティブを重視した意思決定メカニズムから考えることとなる。
しかしいろいろなことを経済学者(特に米国)は研究しているなあと感心する。身長と収入の関係や、容姿と収入の関係が紹介されている。日本では米国ほどではないものの、身長が高いほうが収入が高いという。また身長が高い父親を持つ子供の身長も高くなる傾向があることから、高身長の男性を好む女性心理を説明できるかもしれないとする。高身長は収入だけではなく影響力という点でも有利なようだ。影響力の武器―なぜ、人は動かされるのかを読んだときに、背が高い人ほど信用されるということが載っていたような気がする。


日常生活を経済学的観点から分析するという点では、Slateのeveryday economicsも似たような感じかもしれない。最近の記事ではThe Price of Motherhoodが興味深い。女性は出産を1年遅らせると生涯収入を1割増加させることができるという分析。出産をするという選択自体が、その女性の職業上の特性を現しているかもしれないという問題がある。つまり出世できそうにもないから子供を生もうとする女性もいると考えられる。そのため出産と収入の因果関係を正しく抽出することはかなり難しいようだ。そのため様々な方法で(英文なのでよく理解できなかった部分も多い)、因果関係を特定できるように苦労したようだ。流産した女性と出産した女性を比較したり、妊娠するつもりのなかった女性と妊娠を希望した女性を比較したりという方法を用いているようだ。

以前購入したこの本も同じような感じか?

日常生活を経済学する

日常生活を経済学する