20051127

以下の記事を読んだ。

  • レストラン業界は活況を呈している。新しい店舗が続々開店し、売上も増加している。シェフも積極的に店舗を増やそうとしているのだが、銀行はあまりお金を貸したがらない。開店資金は場所により異なるが安くて10万ドル、高いと数百万ドル以上かかる。そこでミュージカルの支援者を集めるように、レストランの開店資金を投資家から集めるケースが増加している。レストランの常連客などから集めるケースが多い。しかしレストランはかなり失敗するケースが多く、投資リスクはかなり高い。しかも顧客の期待は高まる一方で、シェフも顧客を満足させるのに苦労している状況にあるのだ。シェフにとっては投資家から資金を導入すると、様々な干渉を受けることにもなる。メニューの中身に注文をつけられたり、ウェイトレスの人選に文句をつけられるのだ。
    日本では確かラーメンファンドなんてものがあったが、これもレストランへの投資だと言えそうだ。しかしレストランは流行のサイクルが早いだけに投資も難しそうである。
  • M&Aの半分はうまくいかないという研究がなされている。しかしM&Aのアドバイス・助言を行う投資銀行M&Aがうまくいってもいかなくても高額の報酬を受け取る。残念ながらM&Aの正否と投資銀行の報酬には関係が全くないのだ。そこで投資銀行の報酬をどのようにすれば M&Aの成功・失敗に関連づけることができるのか。一つの方法はアドバイスした企業の株式やオプションを報酬としてもらうことだ。しかしこの場合は投資銀行は投資家になってしまい、大きな利益相反関係になってしまうこともあり得る。もう一つの方法は、投資銀行は現在のようなM&Aの実行を条件に報酬をもらうのではなく、弁護士やコンサルタントのように時間給で報酬を請求するというものだ。M&Aの実行を条件にしているために、投資銀行M&Aに反対するインセンティブがなくなってしまうのだ。これを解消するには時間給にするほうがよいと思われるが、これには助言を受ける企業側はいやな顔をするだろう。経費を計上しなくてはならないためだ。M&Aの実行の時には多少の経費は目立たない。そこで考えられるのが、投資銀行が主張するシナジー効果などが実現した場合に現金で報酬を提供するという方法だ。
    googleあたりが巨大なM&Aを行うとしたら、この記事で取り上げられているような方法を採用するかもしれない。IPOでもダッチオークションを行ったぐらいだし。現在のウォール街のルールを変えることが出来るとしたらあの会社ぐらいだろう。しかしgoogle投資銀行にそそのかされて買収を行うとも考えにくい。最新号のBusiness Weekのカバーストーリーでもそのようなことが書かれていた。資金と高株価という武器は完備しているが、大型M&Aには消極的だという。
  • ブラックフライデーとともに今年のクリスマス商戦が始まった。目玉商品を目当てに多くの客が小売店に殺到している。店舗によっては客が殺到しすぎて乱闘が発生したり、警察官が呼ばれるという騒ぎになるところもある。魅力的な価格の商品を商戦序盤に前倒しで投入することで今年の商戦を乗り切りたいようだ。最近はガソリン価格は下落しているものの、暖房費が上昇しており、もうすぐ消費者の手元にもふくれあがった暖房費の請求書が届くことが予想される。その前に消費者に売りつけてしまおうと小売企業は考えているようだ。アナリストの中には低価格で販売して利益率を悪化させるのではないかとの懸念もある。しかしブラックフライデーが低調だとクリスマス商戦全体が悪くなりかねないとの懸念も小売企業にはある。まさに昨年のウォルマートがそうである。オンラインストアとの競合も厳しくなりつつある。ブラックフライデーの次の月曜日がオンラインショップの売上のピークだが、サイトによっては前倒ししてブラックフライデーからプロモーションを開始するところもある。

  • アルゼンチン女性の美にかける執念はすごいものがある。美容整形への支出は世界第5位であり、フィットネスのためにジムに通う頻度も南米で最も高い。またアパレルの小売店でも小さいサイズしか売っていない。もうすぐブエノスアイレスではアパレル販売店に対する規制が導入される。小さなサイズだけではなく大きなサイズも品揃えするように規制されるのだ。これは国中で大きな議論を呼んでおり、企業側は憲法違反だとして訴訟まで起こしている。モデルが着るようだ小さなサイズしか売っていないために、女性における摂食障害が増加していると当局は見ている。アルゼンチンでは関税が高いことや経済体制が不安定であったために、アパレル関連の外国資本が進出してこないことに加えて、国内でのアパレル産業も細分化されていることがサイズが小さい服しか提供されないことにつながっている。外国人もアルゼンチンの服にはショックを受けることが多い。米国大使館では職員に対して服は米国から買う方が良いとアドバイスするほどだ。
    太った女性はどこで服を買っているのだろう?この風潮を逆手にとって大きなサイズのみを扱う店ができればかなり人気を集めそうな気もするのだが。