20050731

以下の記事を読んだ。
ニコール・キッドマンの膝に見る、映画製作の現場における保険会社の台頭。ハリウッドでの映画製作では多くの場合、外部投資家から資金を調達している。何らかの理由で製作が中止されてしまわないように、投資家は「完成ボンド」と呼ばれる、一種の完成保証を求めている。映画の主演俳優や監督などの主要メンバーが欠けてしまった場合には、それまでに費やされたコストをすべて保証するという保険である。この保険を提供しているのがInternational Film Guarantorsという会社である。ただこの会社もリスクをヘッジするために、主演俳優や監督に大して保険をつけることを求めている。ニコール・キッドマンは映画「ムーラン・ルージュ」で膝をけがしており、その後もこのけがが原因で別の映画の撮影を降板するという事件があった。そのため保険会社にとっては、彼女は「前科者」なのである。そのため「コールド・マウンテン」という映画に出演する際に、保険会社はかなり高額な保険料を求めてきた。保険料が高すぎるため、採算がとれない事態になり、ニコール・キッドマンが出演料を供託することでなんとか保険を取ることが可能になったという経緯がある。保険会社は撮影現場においても大きな発言力を有している。派遣された保険会社の社員が、撮影現場や台本に注文をつけるのだ。保険をかけた俳優や監督に危険が及ばないようするためである。



完成ボンドというのは建設業界では聞いたことがあるが、映画制作でも利用されているとは知らなかった。保険をかけることができるかどうかが、キャスティングや俳優のキャリアに影響を与えるとは驚きである。このコラムの著者は以下の書籍も出しており、なかなか面白そうだ。原書を読むのはつらいので翻訳が出てこないかな。
The Big Picture: The New Logic of Money and Power in Hollywood

The Big Picture: The New Logic of Money and Power in Hollywood