20050727

以下の記事を読んだ。最近はMr.インクレディブルをみるのに忙しくてあまり読んでいない。しかしあの映画は何度見ても面白い。
・米国の肥満人口は年々増加している。成人人口の3割以上が肥満なのだ。これは医療費の高騰をもたらし、米国経済に悪影響を与えるものと思われる。しかしマクドナルドやコカコーラ、ウォルマートなどの米国企業が世界中に進出する中、全世界が肥満社会になるにつれて、米国は一歩先を歩んでいるのだ。これは米国で成長した様々な肥満関連ビジネスに大きな海外市場が生まれるということを意味する。肥満はなかなか解消することができないために継続的な治療を必要とする。肥満で産業構造の転換に成功した町が米国には存在する。ノースキャロライナのDurhamという町だ。肥満ビジネスのシリコンバレーというべきこの町には多くの減量支援センターや関連ビジネスが成長を遂げている。この町はもともとたばこを産業基盤としていたのだが、たばこが斜陽産業となるなか、構造転換に成功している。


ウォルマートが巨大化するにつれて同社の労働条件や、性差別などへ多くの批判が寄せられている。今までは批判を無視してきたのだが、最近は積極的に外へ向けて自社の主張を繰り広げるようになった。この主導者がCEOであるLee Scott氏だ。同氏はもともと物流部門で活躍してきた人物である。マーチャンダイズ部門での業績もあり、CEOに昇進を果たしたのだが、公の場でスピーチすることをできる限り避けてきた。しかし同社が取り巻く環境を考えると、中に閉じこもっているわけにはいかないのだ。全米を回って積極的に批判に対する自社の言い分を主張している。


ヘッジファンドは今まで資産運用の一環として、catastrophe bondsという巨大災害時用の保険を再保険会社に提供していた。しかし最近ではさらにこの分野での存在感を高めるべく、自ら再保険会社を運営するヘッジファンドまで登場しつつある。ヘッジファンドが設立母体となった再保険会社としては、Glacier Reinsuranceや、CIG Reinsurance、Ritchie Risk-Linked Strategiesなどがある。ジョージ・ソロスのファンドもこれらの会社の設立に関わっている。これらの会社は規制が緩やかなバミューダや、税制上の特典があるスイスなどに設立されることが多い。またふつうの再保険と異なり、これらの会社は巨大災害時の保険に業務を絞り込んでいる。そのため顧客となる保険会社はごく少なく、社員も少ない。巨大災害の再保険は、ヘッジファンドが他で投資している資産との相関関係が小さいことが魅力となっている。


シュレック2Mr.インクレディブルのDVD販売が予想を下回っていることを受けて、DVDの成長が鈍化していることをマスコミでは大騒ぎしている。しかしこれはハリウッドの映画スタジオが詳細な情報を開示していないことに起因する。映画スタジオは興行収入からDVD、放映権販売などをすべて同じセグメントとして情報を開示しているためだ。しかし業界団体で集計しているもっと詳細な情報によると、DVDの成長鈍化などという事実はない。逆に成長率は前年と比較して高いぐらいだ。興行収入に関しても同様であり、大手映画スタジオの興行収入は決して落ち込んでいない。全体の足を引っ張っているのは、独立系や外国映画の興行収入の鈍化である。ハリウッドの問題としては、劇場公開とDVD販売までのサイクルがどんどん短期化していることだ。これにより興行収入は落ち込み、それを補うためにますますDVD販売のサイクルを早めなくてはならないというサイクルに突入している。


・企業化するドッグレースの世界。ドッグレースに参加する犬に対してスポンサー契約を結ぶメーカーが増加している。近年、ドッグレースが大手チャンネルで放映されるようになり、多くの視聴者を集めている。そのためペットフードを初め様々な業界の企業がスポンサーになっているのだ。スポンサー契約を結んだ犬は、メーカーのロゴ入りTシャツやバンダナをレース中に付けることで企業名をアピールする。一頭当たり年間1000ドル程度でスポンサー契約を行うことができるために、低コストなマーケティングといえる。少額であっても、自腹でレースに参加している飼い主にとっては大きい。またドーピングやスキャンダルを起こすこともなく、負けた場合でも礼儀を失わないという点もスポンサーにとってはメリットだ。犬に関係ない製品を生産している企業さえスポンサー契約を行っている。ただドッグレースの中には企業化することをおそれて、レース中はTシャツやバンダナの着用を禁止するところもある。



犬にまでスポンサーが付く時代。
肥満が米国経済に与える記事に関してはhttp://d.hatena.ne.jp/ichiyu/20050520/p1も関連している。