20040127

  • 今までは独占に関する問題では、売り手独占(monopoly)が問題になることが多かったが、最近は買い手独占(monopsony)が問題になるケースが増加している。M&Aの増加により、業種内での企業数が減少しているため、供給業者に対して不当に低い価格を押し付ける行為に結びついていると指摘されている。米国の独禁当局は、買い手独占に関しては慎重な態度を取っていた。消費者の利益にもなるためだ。特にウォルマート(Wal-Mart)がこの好例になる。同社は世界最大の小売業者であり大きな購買力を有しているために供給業者から安い価格で商品を調達することができる。この恩恵を消費者も受けることができるのだ。しかし不当に低い価格を納入業者に押し付けるようになると、業者は技術革新を怠ったり、生産をストップしてしまう恐れもある。米国で問題となっているのが、タバコ会社によるタバコ農家からの仕入れにおける談合疑惑である。また木材や食肉、保険などの分野でも問題となっている。政府は慎重な態度であるために、談合の被害を受けたと主張する納入業者による裁判が多発している。

  • インドでは、海外からのコールセンター業務の受託が急増している。それに伴いコールセンターで働く若者の数も増加している。彼らはアメリカ人である顧客と接触するために米国文化の影響を受けやすい。そのため伝統的なインドの価値観を大きく動かしつつある。またインド社会の中では高所得な彼らはインド経済の消費を引っ張っていく原動力にもなっている。深夜に勤務するために、特に女性労働者は家族との衝突も絶えない。彼女らの親から見れば深夜に働くのはコールセンターではなく「コール・ガール」にしか見えないのだ。家族に引き戻そうと親が会社にまでやってくるケースもある。