ロイヤル・ダッチ・シェルに見る石油埋蔵量の問題

先週、Royal Dutch Shellが自社の石油埋蔵量が2割程度過大に評価されていたと発表した。このニュースを受けて同社の株価は急落している。この一件は石油埋蔵量の推定方法における問題を示している。国によって推定方法が異なり、米国が一番厳しい。また自社で推定を行う会社もあれば、第三者に依頼する場合もあり、まちまちな状況となっている。第三者に推定を委託する場合でも、SECの基準に触れない程度で最大限の埋蔵量を推定するように圧力がかかるという。そのSECの基準でさえあいまいなものとなっている。エンジニアが10人いれば10人がそれぞれ異なる推定を行うために、最も少ない数値を採用するのが保守的であると指摘されている。最近は試掘を行わずにハイテクを用いて推定することが多くなっているが、これも実際に採掘し始めると期待外に終わる事態につながっている。今回の一件における教訓は、埋蔵量をあまり気にするなということである。実際にどの程度のコストで採掘できるかがが業績には大きな影響を与える。また埋蔵量が少ないことが分かった企業は実際に採掘を行っている油田を手に入れようと必死になるために、稼動中の油田を抱える企業に投資すべきとの教訓もある。既にこの思惑で石油株の中には上昇しているものもある。