アイスランドとアイルランド

Lessons from Iceland : Coming in from the cold (The Economist)
少し前に、クルーグマン教授のブログで同じ話題を読んだような気もするが、この記事も明らかに同ブログへの反論といった匂いがする。アイスランドアイルランドは、日本語で記述してもアルファベットで記述しても一文字しか違わないが、債務危機に直面した際に取った対応は大きく異なっている。外国からの借金を踏み倒して自国民の負担を減らしたアイスランドと、ユーロを守るために借金返済を優先して自国民に大きな負担を背負わせたアイルランドといった具合だ。
景気回復と金利低下を実現しつつあるアイスランドの現状を見ると、自国の銀行システムを救済しなくても大したダメージはなかったように見える。しかしよく見ると、景気回復は、通貨安に伴う輸出増加というよりも、国内需要低下による輸入減によって実現していることが分かる。アイスランドの輸出は漁業など供給能力に制約があるので、通貨安の恩恵を生かし切れない。金利低下にしても外貨交換が制限されているために、実現したという側面が強い。
そのため、本当にアイスランドのやり方が良かったのかは断定できないものの、アイスランドの現状を見た以上、今度ユーロ域内で債務危機に直面した国は、アイルランド以上の救済策を求めてくる可能性は高い。