銀行のITシステム

Banks and information technology : Silo but deadly (The Economist)
みずほ銀行三菱UFJ銀行での大規模なシステムトラブルの時に、欧米の銀行ではITシステムが優れているからこんなことは発生しないとの報道もあったと記憶している。しかしこの記事を読むと全然そんなことはないのだなあと思ってしまう。ただ取り上げているシステムの問題が別であることには留意しないといけないが。この記事では銀行は多額のIT投資を行っているものの(実際、ITへの投資は他産業を圧倒している)、収益を生む分野への投資(トレーディングなど)に偏っており、収益に直接結びつかないリスク管理への投資を怠っていた。しかも金融商品イノベーションの速度があまりにも速いためにシステム開発が追いつかずにexcelでポジション管理をする場合も少なくない。またM&Aにより異なったシステムが混在するのも珍しくない。そのため、特定のカウンターパーティーにどれだけのリスクを抱えているのか、全社レベルで把握するのに時間がかかる事態になり、金融危機においては致命的な問題となった。もちろん、全社レベルでリスクを把握できても、それが経営陣の過剰なリスクテークを防ぐことかできたは全く別の問題である。