アングロサクソンモデルと欧州モデル

Europe's economies : A new pecking order (The Economist)
欧州での過剰規制、高率の税制、経済への国家関与などが欧州大陸の経済成長を抑制しているとさんざん指摘されていた。しかし米国や英国発の金融危機により、欧州大陸の経済運営のほうがまだましなのではないかとの見方が浮上してきた。輸出依存のためにアングロサクソンよりも激しい景気悪化に直面しているドイツはともかく、フランスは自国の経済モデルが優れていることを主張することにためらいはない。しかし厳しい規制、たとえば労働者の解雇に関する規制は景気悪化時においては失業率の上昇を抑えることができるかもしれないが、反面、景気回復時には新規雇用を抑えることにもなる。手厚い失業給付も同じだ。個人消費の落ち込みを抑えることができるが、財政赤字を拡大させることになる。またビジネスへの過剰規制はベンチャー企業の登場を抑制し、新しい産業が生まれることを阻害することになる。ただアングロサクソンモデルと欧州モデル、いずれがよりよい経済運営をする上で役に立つかという問題ではなく、いずれのモデルを採用しても副作用となる問題を解決しないといけない。イデオロギーではなく結局は現実の問題にいかに対応するかということになる。